GoogleのGeminiが「Storybooks」実装 子どもの写真でAI絵本が作れる時代に

2025年8月5日(現地時間)、米Googleは生成AI「Gemini」アプリにおいて、新機能「Storybooks」を発表した。子どもの写真や描いた絵を取り込んで、オリジナルの絵本を自動生成できる機能である。
子どもの思い出が絵本に Geminiで10ページ自動生成
Googleが発表した「Storybooks」は、ユーザーの入力に応じて物語と挿絵、ナレーションまでを自動生成するAI絵本制作機能だ。利用者は自身の想像したストーリーを説明するだけで、Geminiが10ページ構成のフルカラーデジタル絵本を作成する。
最大の特徴は、ユーザーが提供する写真やイラストなどのファイルを素材として使える点にある。たとえば家族旅行の写真をアップロードすれば、その情景を舞台にした冒険譚が生成される。ピクセルアートや塗り絵、クレイアニメなど複数の表現スタイルから好みのビジュアルを選ぶことも可能で、個別性の高い内容が魅力だ。
また、教育的な活用にも配慮されている。太陽系の仕組みを楽しく伝える解説物語や、「兄弟に優しくすることの大切さ」といったテーマ性を持たせたストーリーの生成も可能で、育児における読み聞かせの幅を広げることが期待される。
本機能はデスクトップおよびモバイルのGeminiアプリで提供され、日本語を含む45以上の言語に対応している。
育児AIの新潮流か 感情共有の可能性と課題
Storybooksの登場は、AIと家庭生活の接点における新たなフェーズを象徴している。今後、絵本にとどまらず、育児日記、学習教材、成長記録といった他の領域へも波及していく可能性が高い。特に、子どもの個性や発達段階に応じたパーソナライズドなコンテンツ提供が進めば、教育と感情形成の双方において実質的な効果をもたらすことが期待される。
加えて、AI生成絵本の普及に伴い、親子で共同制作する「参加型AIコンテンツ」の需要も高まると見られる。親がストーリーの一部を提案し、子どもがイラストを描き、それをAIが形にする、といった双方向性のある活用が主流になる可能性もある。
ただし、この領域の成長には倫理的・法的枠組みの整備が不可欠である。子ども向けAIコンテンツに特化したガイドラインの策定や、親による内容チェックを支援する仕組みの導入が、今後の課題となるだろう。
AI技術の進展とともに、利用者と開発者が共に「安心できる育児AI環境」を築けるかどうかが問われている。