ETHMが約85億円分のイーサリアム購入 ナスダック上場に向け

2025年7月30日、米イーサリアム特化企業The Ether Machineは、子会社を通じて約85億円分のイーサリアム(ETH)を新たに購入したと発表した。ナスダック上場計画を進める中、資産拡充による機関投資家向けポジショニングを強める構えだ。
ETH15,000枚を追加取得 累計33万枚超に
The Ether Machineは30日、子会社であるEther Reserveが約15,000ETHを1トークンあたり3,809.97ドルで取得したと明らかにした。総額は5,700万ドル(約85億円)に上り、同社のETH保有・約定済み数量は計334,757枚に達した。
また、最大4億700万ドルの追加購入余力があるとのことだ。
この購入はイーサリアム誕生10周年を記念して実行されたもので、長期的な蓄積戦略の一環とされる。同社共同創業者のアンドリュー・キーズ氏は「イーサリアム10周年をイーサへのコミット深化で祝う以上の方法は考えられない」と語った。
購入資金には、2025年初頭に実施した私募により調達した現金9,700万ドルの一部が使用された。また、残りの資金を用いて今後数日以内に追加購入が行われる予定である。
詳細は追って開示される見通しだ。
今回の追加購入は、同社が進めるナスダック上場戦略との連動性も強い。The Ether Machineは7月21日、SPAC(特別買収目的会社)(※)であるDynamics Corporationとの合併を通じた上場計画を発表しており、合併完了時には保有資産が40万ETH超に達する見込みだ。
合併後のティッカーは「ETHM」となり調達額は最大15億ドルに及ぶとされる。合併完了は2025年第4四半期を予定している。
上場に向け4億ドル超の購入余力 資産戦略に脚光
The Ether Machineはイーサリアムを単なる金融資産ではなく「新たなインターネット経済の基盤」と捉えており、トレジャリーとしての保有強化に注力している。
計画が順調に進めば、Web3インフラを支える上場企業として存在感を一気に高める可能性がある。
一方で、イーサリアムの価格変動リスクを抱えながら資産を集中保有するという戦略には慎重な見方もできる。特にボラティリティが激しい市場環境下での長期運用には、ポートフォリオ管理や流動性確保の観点から注意が必要とされる。
それでも、同社が4億700万ドル相当の追加購入枠を確保している点は、今後の市場インパクトを考える上で重要だろう。仮に価格下落局面で大量取得に動けば、市場の下支えとしても機能する可能性がある。
イーサリアムを本格的なトレジャリー資産として扱う姿勢は、他のWeb3系企業やステーブルコイン発行体にも波及する可能性がある。
ETHMの上場と保有動向は、今後の暗号資産市場の構造変化を占う鍵となるかもしれない。
※SPAC(特別買収目的会社):既存の未公開企業と合併することを目的に設立された企業。従来のIPOよりも迅速かつ柔軟に上場を果たせる手段として注目されている。