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    韓国中央銀行が部門再編 ウォン建てステーブルコインの体制強化

    2025年7月29日、韓国中央銀行がウォン建てステーブルコインをはじめとする仮想通貨市場への対応を強化するため、新たに仮想通貨専門チームを設置する組織改編を発表した。国内外の規制動向を踏まえた動きだ。

    目次

    韓国中銀が仮想通貨専門チームを新設し組織改編を実施

    韓国中央銀行は2025年7月31日付で、金融決済局内に「仮想通貨(バーチャル・アセット)チーム」を新設した。これに伴い、従来の「デジタル通貨研究室」は「デジタル通貨室」に名称変更し、単なる研究部門から実務的な事業部門へと位置付けを変えた。

    仮想通貨チームは、特にウォン建てステーブルコイン(※1)の市場監視と立法議論を専門的に担当する。デジタル通貨室内も技術1チームを「デジタル通貨技術チーム」、技術2チームを「デジタル通貨インフラチーム」に再編し、それぞれ調査・研究や個人情報保護技術、預金トークン基盤の管理プラットフォーム事業を担う。

    この組織改編は、中央銀行デジタル通貨(CBDC ※2)業務の継続と並行しつつ、韓国政府が推進するウォン建てステーブルコイン市場の活性化に対応するためのものだ。大統領の資本流出防止策や与党による基本規制枠組み法案提出の動きも背景にある。

    李昌鎔韓国中央銀行総裁はこれまで、預金トークンを「銀行発行のステーブルコイン」と位置付け、CBDC実取引テスト「プロジェクト・ハンガン」がウォン建てステーブルコインの安全な導入を目指すことを強調している。

    ※1 ステーブルコイン:価値が法定通貨などに連動し価格変動を抑えた仮想通貨の一種。

    ※2 中央銀行デジタル通貨(CBDC):各国中央銀行が発行するデジタル形式の法定通貨。

    ウォン建て通貨モデルの行方 制度化と普及に壁も

    今回の新体制は、韓国型ステーブルコインの社会実装を視野に入れたものといえる。
    特にウォン建ての通貨設計は、為替管理の一環として有効性が高く、域内経済の安定化に資する手段として注目される。中央銀行が制度基盤を整備することで、信頼性と法的安定性の確保につながる可能性がある。

    また、既に主要銀行や決済事業者がステーブルコインのティッカーシンボル商標を相次いで出願しており、民間と当局の連携による実用化が進展しつつある。
    決済インフラや個人情報保護技術においても、韓国のICT分野は競争力を有しており、フィンテック強国としての優位性を活かせる余地がある。

    一方で、CBDCと民間発行のステーブルコインが併存する状況は監督の重複や制度調整の複雑化を招きやすい。規制の曖昧さが法的リスクや市場の混乱を引き起こす恐れがあるため、明確なルール作りと慎重な導入が求められる。

    さらに、ウォン建て通貨の国際的な普及は為替変動リスクや取引量の制約により難航が予想される。国際基準との整合性や異なるシステム間での相互運用性を確保することが今後の課題となるだろう。

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