NEC、最大40時間駆動のAI対応PC発表 外出先でも電池切れの不安なし

2025年7月30日、NECパーソナルコンピュータは、最大約40.2時間の駆動時間を実現した法人向けノートPC「VersaPro UltraLite タイプVY」を発表した。
AI時代の電力課題に対応する製品として、販売を開始した。
VersaPro UltraLite、AI時代に対応する長時間駆動PCとして登場
生成AIやWeb会議の常態化により、業務用ノートPCの電力負荷は増大している。
これに対してNECは、ハード面、ソフト面両面での省電力性能を追求した製品を提案した。
NECは、法人向けノートPC「VersaPro UltraLite タイプVY」を発表し、同日より販売を開始した。
重量1kg未満ながら、最大40.2時間の駆動時間を実現している点が特徴だ。
バッテリー関係の機能は、多方面で充実している。
カスタマイズ性に優れたCRU(※)機構により、バッテリーをユーザー自身がネジ4本で交換できる。
また、ウェブ会議および動画視聴時に自動で低消費電力モードになる「自動省電力制御AI」と、AIが勤務スケジュールを把握しバッテリーを最適化する「スケジュールAI」という2つのAI制御によるロングバッテリーモードを搭載している。
さらに、劣化を抑える「長寿命5Yearsバッテリー」を採用。
業務開始3時間前から100%充電を行う「スマート充電」により、常時満充電による劣化も防ぐ。
この機能により、5年後でもバッテリーの残存率は71%を維持するとしている。
AI PCとして業務支援機能も充実している。
マニュアルデータやPC状態を踏まえて最適な解決策を提示する「AI Plus Biz」や、ヤマハの音声処理技術を活用した「AIミーティング機能」などを搭載しており、業務を支援する。
NECのコマーシャル営業推進本部長の飯田氏は、「AI PCの時代に突入し、消費電力はより上がってくる。今まで以上に消費電力、バッテリーが重要になる時代が来る」とし、AI機能と持続力の両立による価値を強調した。
※CRU(Customer Replaceable Unit):ユーザーが自ら交換できる部品の仕様。バッテリーなどの部品を特別な技術や工具を使わずに簡単に交換できるように設計されている。
高性能化と長寿命化の両立
この製品は、AI活用が本格化する中で顕在化してきた電力・バッテリー課題に対応したものといえる。
Web会議や生成AIの利用は消費電力を押し上げ、従来の駆動時間では不足するケースが増えている。
約40時間の連続駆動を実現し、バッテリー交換やスマート充電が可能な設計は、法人現場におけるPCの長期運用に新たな価値をもたらす。
営業担当や出張が多い職種にとって、バッテリー切れの不安は業務効率に直結する問題であり、生産性の向上が期待される。
さらに、AIによるスケジュール認識と充電制御による長期的なバッテリー寿命の向上もアピールポイントとなる。
一方で、価格帯は48万1800円(税込)〜と高めに設定されており、中小企業や一部ユーザーにはハードルとなる可能性もある。
また、AI機能の有効性や学習精度がユーザーごとに異なることから、実際の運用においてどこまでユーザーが使いこなせるかが鍵になると考えられる。
NECは、日本市場のニーズに特化した開発体制を強調し、「米沢事業所」「群馬事業所」など国内拠点を基盤とする品質管理体制を維持する方針だ。
AI PC市場の拡大とともに、こうした地に足の着いた開発姿勢が評価される可能性は高い。