SmartNews、AI要約機能「スマニューAIまとめ」提供 複数メディア記事を個別に要約

2025年7月24日、スマートニュースが国内ニュースアプリ「SmartNews」において、生成AIによるニュース要約機能「スマニューAIまとめ」の提供を開始した。複数の報道を並列的に把握できる新機能で、国内ニュースの読み方に変化をもたらす可能性がある。
複数記事をAIが個別要約 信頼性と多様性を両立した新機能
スマートニュースは、生成AIを活用した新機能「スマニューAIまとめ」を正式にローンチした。対象となるのは全国紙やテレビ局などの主要メディアの記事で、同一テーマに関する複数の報道をAIがそれぞれ要約し、1つの記事に整理して掲載する方式となる。
記事冒頭には、出来事・背景・展望の3つの視点が明示されており、ユーザーは短時間でトピックの全体像を把握できる構成だ。従来のニュース配信では難しかった、多角的な視点からの理解が促進される。
要約された各記事には出典元が明記され、リンクを通じて元記事へ直接アクセスできる。これは、複数メディアの要素を混在させないことで、各社の報道方針や表現の個性を保持したまま並列表示を実現している点に特色がある。
開発を主導したヴァイス・プレジデント 日本プロダクト担当の村上臣氏は、「正確性は開発上で最も苦心した部分」と語り、報道編成担当と技術チームが協業し、AI生成内容の人間による確認も含めた体制で慎重に導入を進めたことを明かした。
また今回のリリースにあわせ、スマニューAI関連の案内役としてキャラクター「マーキュリーさん」も新登場した。今後はこのキャラクターが、ユーザーにAI関連機能をナビゲートしていく方針だ。
AI要約が変える情報接触 精度向上と信頼性確保がカギに
「スマニューAIまとめ」の導入は、情報接触の在り方に変革をもたらす可能性がある。短時間で複数の視点からニュースを俯瞰できるという点は、情報の精査と比較を重視するビジネス層にとって特に価値が高い。
メディア側にも好影響が期待できる。1つのトピックに複数記事が掲載されれば露出機会は増加し、要約記事経由での流入も見込まれる。
出典元に広告収益を還元する仕組みも整っており、コンテンツ制作のインセンティブを高める設計だといえる。
ただし、生成AIによる要約はあくまで機械処理であるため、情報の解釈違いや要点の抽出ミスといったリスクは常に存在する。SmartNewsが人的チェック体制を導入している点は安心材料だが、今後さらに精度の向上や誤解防止の取り組みが求められるだろう。
また、AIの透明性や根拠の説明可能性が問われる場面も増えるとみられる。ニュースを扱う以上、ユーザーが情報の出所と信ぴょう性を確認できる仕組みは不可欠であり、メディアリテラシーとの両立が課題となる。