サイバーエージェント、生成AI時代の検索最適化へ 新組織「GEO Lab.」設立でユーザー行動を深掘り

2025年7月23日、サイバーエージェントは、生成AIの検索利用実態と回答傾向を研究・分析する新組織「GEO Lab.」を設立したと発表した。生成AIを新たな検索チャネルと位置づけ、広告・マーケティングへの活用を見据える。
生成AIの検索最適化を狙い、専用研究組織を新設
インターネット広告大手のサイバーエージェントは、生成AIの活用が広がる中で新たな検索行動の解析を進めるべく、専門組織「GEO Lab.」を設立した。
「GEO」は「生成エンジン最適化(Generative Engine Optimization)」の略称で、従来のSEO(検索エンジン最適化)に代わる概念として注目されている。
同社は、ユーザーが生成AIを用いてどのように情報を検索し、AIがどのように回答を導き出すかというメカニズムの解明が、今後のマーケティング戦略に大きな影響を及ぼすと見ている。
GEO Lab.では、主に3つの領域において研究が進められる。
1つは生成AIの回答に影響を与える学習元サイトの傾向分析。2つ目は、大規模言語モデル(LLM)による推論メカニズムの解明。そして3つ目が、生成AIを通じたユーザーの行動変化の調査である。
研究成果は、今後セミナーやレポートとして外部にも発信される予定だ。
生成AI時代の新マーケ戦略 GEOがもたらす機会と課題
GEO Lab.の設立は、広告主やメディアにとって新たな戦略構築の起点となる可能性がある。
従来のSEOは検索エンジンを通じた「ランキング」での露出が鍵だったが、生成AIでは「文脈に応じた一意の回答」が提示されるため、上位表示よりも「回答に選ばれる」ことが重要視されると考えられる。
そうした状況に対応するためには、AIが参照するデータの構造や信頼性に対する理解が不可欠となるはずだ。
GEOに関する知見を活かすことで、企業はよりAIに適した情報提供方法を模索できるようになるだろう。特に、FAQ形式のコンテンツや権威性の高いナレッジ提供が重視される展開が予想される。
一方で、生成AIが誤情報を提示した場合の責任の所在や、アルゴリズムのブラックボックス性が課題として浮上する可能性もある。また、AIの回答傾向が固定化すれば、情報の多様性や偶発的発見が失われるといったことにもつながり得るだろう。
とはいえ、生成AIをめぐる情報取得のあり方は今後ますます進化し、GEOはその中核を担う概念として定着していくとみられる。
サイバーエージェントの今回の動きは、マーケティング業界における生成AIシフトの先駆けとなりそうだ。