北紡、8億円でビットコイン購入へ Web3・RWA事業の本格参入を加速

2025年7月22日、東証スタンダード上場の繊維メーカー・北紡(旧・北日本紡績)は、総額8億円分のビットコイン取得を開始すると発表した。
国内交換業者を通じた購入であり、Web3・RWA事業参入の第一弾施策となる。
北紡、ビットコインを8億円分取得へ 新事業の第一弾として発表
2025年7月22日、北紡は総額8億円分のビットコインを取得すると発表した。購入は7月より、国内の暗号資産交換業者を通じて順次実施される予定で、取得方法にはドルコスト平均法(※)を採用する。
同社は石川県白山市に本社を構える繊維メーカーで、7月1日には社名を「北日本紡績」から「北紡」へ変更している。今年5月には、暗号資産およびRWA(現実資産)関連ビジネスへの参入を明らかにしていた。
今回のビットコイン取得は、新規事業の第一弾として位置づけられており、購入資金には新株予約権により調達した資金の一部を充当するという。
また、取得したビットコインの一部はレンディング事業者への貸借を通じて利回りの獲得を目指すとしている。
北紡は暗号資産の保有に加えて、暗号資産マイニングや独自トークンの発行、Web3ウォレットの提供、RWAのトークン化など、複数の関連事業を構想中である。
これらの施策は順次開示予定であり、担当部署として「クリプトマネージメント部門」を新設した。
※ドルコスト平均法:資産を一定金額ずつ定期的に購入する投資手法。価格変動の影響を平準化し、リスクを抑える効果がある。
Web3進出で脱繊維依存を図る 環境・財務・技術面での挑戦と可能性
今回のビットコイン取得は、北紡が従来の繊維業から脱却し、新たな収益源を模索する姿勢を鮮明に示すものである。
Web3やRWA分野における事業展開は、資源循環・環境配慮といった同社の既存事業との親和性も高く、トークン化やカーボンクレジット創出といった新たな付加価値の創出が期待される。
一方で、暗号資産市場は価格変動が大きく、法制度の整備も進行中である。
そのため、特にレンディングや独自トークン運用においては、資産管理や規制遵守の面でリスクが伴うだろう。また、投資家からの視線も従来以上に厳しくなる可能性がある。
今後は、繊維業で培った生産・供給のノウハウをWeb3分野にどう活用できるかがカギを握ると思われる。再エネ活用によるマイニング構想やサプライチェーンの可視化に向けたRWAトークン化は、持続可能なビジネスモデル構築に寄与し得る要素だ。
環境・資源・金融という異分野の交差点に立つ北紡の挑戦は、地方製造業におけるWeb3活用の先行事例として、他企業にも示唆を与えるだろう。
今後の実行力と開示姿勢が、その信頼性と広がりを左右しそうだ。