富山市、AIと防災無線を連携 クマ検知で自動放送の実証実験開始

2025年7月22日、富山市はクマ出没対策として、AIカメラと防災行政無線を連動させた自動放送システムの実証実験を開始した。熊野・月岡地区にカメラを設置し、検知と同時に近隣住民へ注意喚起の放送が流れる仕組みで、10月からの本格導入を予定している。
富山市、熊野・月岡でクマ検知放送システムを試験導入
富山市は7月22日、クマの出没に迅速に対応するため、AI(人工知能)カメラと防災行政無線を連携させた自動放送システムの実証実験を開始した。
対象地区は熊野と月岡で、同市によると、AI検知と無線放送を組み合わせた取り組みは全国でも珍しいという。
実験は9月まで行われ、10月からの本格運用を目指している。加えて、大沢野地区や山田地区への展開も検討されている。
同市は、クマの通り道とされる熊野川沿いにAIカメラ8台を設置。カメラがクマを検知すると、近隣地域に設置された防災行政無線から自動で注意喚起の放送が流れる。これにより、市民が早期に状況を把握し、身を守る行動をとることが可能になる。
従来は目撃情報を受けた市職員が現地確認後、手動で周知していたが、システム導入によって初動対応の迅速化が期待されている。
自動化で迅速対応へ 誤報対策や運用課題も残る
AIカメラと防災無線を連動させたこの取り組みは、クマ出没時の初動対応を迅速化し、市民の安全確保に寄与する可能性がある。
人手を介さず即時に警報が発せられることで、従来の対応に比べて危険回避の時間的余裕が生まれる点は大きな利点だ。
また、山間部から平野部へとクマの出没が広がる中、テクノロジーを活用した対策は他自治体にとっても有効な参考事例となり得る。
今後の実証結果次第では、全国への展開も視野に入るだろう。
一方で、AIの誤検知による不要な放送や、システム誤作動への対応体制など、実運用に向けた課題も残る。
市は実証期間中に精度向上や運用マニュアルの整備を進める必要がある。迅速さと信頼性の両立が、今後の鍵となる。