クレオのIT管理ツールに生成AI機能　FAQ草案や検索を自動化し業務効率化へ

2025年7月22日、株式会社クレオは、クラウド型ITサービスマネジメントツール「SmartStage ServiceDesk」に生成AI機能を追加するアップデートを実施した。
FAQ草案の自動生成やAI検索機能などが搭載され、国内IT部門の業務効率化を後押しする。

FAQ作成や検索をAIが支援　SmartStageが大幅アップデート

クレオが開発・提供する「SmartStage ServiceDesk」は、ITIL（※）準拠の国産クラウド型ITサービスマネジメントツールである。
今回のアップデートでは、生成AIと自然言語処理技術を活用した複数の機能が新たに実装された。

主な追加機能の一つは、クローズ済みチケットの内容をAIが解析し、FAQの草案を自動生成する機能だ。これにより、FAQの作成にかかる時間と工数を大幅に削減できるとし、ナレッジ共有の迅速化と品質向上に寄与するという。

また、過去のチケットやナレッジベースをもとに、AIがユーザーの入力意図を読み取り、最適な情報を提示するセマンティック検索も導入された。あいまいな言葉や話し言葉にも対応できるため、自己解決率の向上が期待されている。

加えて、問い合わせ種別に応じて必要項目のみを表示するダイナミック入力機能、チャットや電話での問い合わせをその場でチケット化できる代理起票機能なども備える。
さらに、大量データの一括更新や削除、CSVでの柔軟なデータエクスポート、リアルタイムの課金状況確認機能も加わり、管理者の運用負担軽減が図られる。

※ITIL：Information Technology Infrastructure Library。ITサービス管理のベストプラクティスを体系化したフレームワーク。

AI導入で運用効率とナレッジ精度が飛躍的に向上する可能性も

生成AIを活用した今回の機能追加は、IT部門の業務におけるナレッジ活用の在り方を大きく変える可能性がある。
従来、FAQの整備やナレッジベースの構築には相応の時間と専門知識が必要だったが、AIの導入により、その負担は大幅に軽減される。

セマンティック検索機能により、ユーザーの曖昧な質問にも適切な回答が返せるようになることで、エンドユーザーの満足度向上やサポート業務の省力化にもつながる。
問い合わせ内容のリアルタイムなチケット化や動的な入力フォームの導入も、属人化しがちな業務フローを標準化し、対応品質の均一化を促進すると考えられる。

一方で、AIの提案内容が必ずしも正確とは限らず、FAQやナレッジの精度を担保するためには人のチェックが不可欠である。
AIの活用を補助的な手段と捉え、適切な検証と運用ルールを併せて整備することが、今後の成果を左右する鍵となる。

今後、他社ツールでも同様の機能拡張が進むことで、国内ITサービスマネジメントにおけるAI導入が加速する可能性が高い。
クレオの今回の取り組みは、その先駆けとして注目されるだろう。