イーサリアム、ガスリミット4500万へ拡張か　バリデーターの合意進む

2025年7月20日、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、ネットワークの約半数のバリデーターがガスリミットを4500万ユニットに引き上げる意向を示していると明らかにした。
取引処理能力の向上が期待される中、今後のガスリミット拡張も視野に入っている。

イーサリアムのガスリミット、4500万ユニットに拡大へ

2025年7月21日時点で、ガスリミットの引き上げを支持するバリデーターのステーク割合は49％に達している。
これは、ブロックチェーン上での処理容量を意味するガスリミットを4500万ユニットへ引き上げる方向で合意が形成されつつあることを示す。

ガスリミットは、1ブロックあたりの処理可能な計算量の上限を示し、トランザクションやスマートコントラクト（※）の実行に必要なガスに影響を及ぼす。
リミットを超えたトランザクションは次ブロックに繰り越されるため、ガスリミットの拡張はネットワークのスループット向上に直結する。

今回の引き上げは、イーサリアムの価格が3800ドルを突破するなど、市場の盛り上がりの中で進行している。
ステーキングを通じてネットワークを支えるバリデーターの合意形成により、2025年2月の3600万ユニットへの増加に続く措置となる。

イーサリアム財団のDevOpsエンジニアであるパリトシュ・ジャヤンティ氏は、「当面は4500万が目標で、その後すぐにさらに引き上げる計画だ」とし、「今後数年間で計画されているものが多くある」と述べており、今後も段階的な調整が続く見通しだ。

※スマートコントラクト：ブロックチェーン上で自動的に実行される契約。あらかじめ設定された条件に基づき、プログラムに従って処理が行われる仕組み。

ガスリミット引き上げが映すイーサリアムの成長戦略

イーサリアムのガスリミット引き上げは、ブロックチェーンの処理能力向上に直結する重要な動きである。

今後4500万ユニットが新たな基準となれば、トランザクションの遅延緩和やユーザー体験の改善が進む可能性がある。
ただし、トランザクション処理量の増大はノードへの負荷を高めるため、分散性の低下やインフラコストの増加といった課題も浮上しかねない。

イーサリアム財団が段階的な引き上げを視野に入れている以上、今後さらに高いガスリミットが設定されることは十分に想定される。
これにより、DeFiやL2チェーンとの連携強化といった開発面での拡張性が広がる一方、ネットワーク全体の健全性やセキュリティへの影響については継続的な検証が求められるだろう。

また、2025年7月時点での価格上昇がガスリミット議論の背景にあることから、価格変動と技術的判断の関係性にも注視が必要だ。
今後はバリデーターや開発者だけでなく、ユーザーやアプリ開発者を含む広範なステークホルダーの意見を反映しながら、バランスの取れた拡張戦略が求められると言える。