トランプ・メディア、BTC20億ドル相当の保有を発表 脱金融機関の戦略明かす

2025年7月20日、米トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は、約20億ドル(約2900億円)相当のビットコイン(BTC)を保有していることを発表した。
CEOのデビン・ヌネス氏は、財務上の独立性を確保する狙いがあると述べている。
ビットコイン1万7000BTC保有 金融機関依存からの脱却狙う
TMTGは7月20日、約20億ドル相当のビットコインを保有していると公式に明らかにした。現在のビットコイン価格はおよそ11万8000ドルであり、これを基準に計算すると約1万7000BTCに相当する。
TMTGは、トランプ現大統領の立ち上げたメディア・テクノロジー企業である。
保守的な発言を抑制するプラットフォームと対峙するとして、「Truth Social」の運営などをしている。
同社CEOのデビン・ヌネス氏はプレスリリースにて、「我々は公表した戦略を厳格に実行し、ビットコインのトレジャリー(財務)計画を遂行している」とコメント。
「これらの資産は、我々の財務上の自由を確保する助けとなり、金融機関による差別から我々を守るのに役立つ」とも述べた。
さらにTMTGは、仮想通貨関連証券を対象としたオプション戦略に対して、別途3億ドルの投資資本を確保している。
これらの動きは、同社が掲げる「金融機関に依存しない自由な財務構造」実現への布石とみられる。
同社は2025年5月下旬より、ビットコイン・トレジャリー戦略に資金を振り向けるべく、総額25億ドル規模の資金調達を開始していた。
今回の開示はその具体的な進捗を示すものであり、市場では同社株価がプレマーケットで6.5%上昇する反応を見せている。
“脱ドル”の先駆か 政治色帯びるビットコイン戦略に賛否
TMTGのビットコイン戦略は、財務的合理性だけでなく、政治的意味合いも帯びている点で注目される。
とりわけトランプ氏が支援する「Truth Social」など、金融機関との対立構造を持つプラットフォームにとって、分散型金融資産の保有はメッセージとしての役割を担っている可能性がある。
メリットとしては、従来の金融インフラからの自立性を高め、資金凍結などのリスクを回避できる点が挙げられる。
また、ビットコインは長期的にインフレヘッジ資産と見なされており、政治的支持層からの共感も得やすい。
一方で、仮想通貨市場はボラティリティが高く、財務基盤を支えるには不安定な面もある。
とりわけ上場企業においては、資産の大部分を仮想通貨に依存することは株主にとってリスクと捉えられる可能性がある。
今回の戦略は単なる投資を超えて、暗号資産とトランプ氏の組織の結びつきを示すメッセージとしての機能も果たしている。
今後は、仮想通貨を戦略的に組み込む企業の増加に加え、政治と金融の境界がより曖昧になっていく可能性がある。