ブレインパッド、生成AIの品質基準策定 対話型検索の信頼性向上へ

2025年7月16日、株式会社ブレインパッドは生成AIプロダクトの品質基準を策定したと発表した。対象は同社の対話型AI検索「Rtoaster GenAI」で、事実誤認やバイアス表現を抑制し情報の信頼性と安全性を高める狙いがある。
Rtoaster GenAI向けに初の生成AI品質評価を導入
データ活用を軸とした経営支援を手がけるブレインパッドは、同社が展開する対話型AI検索「Rtoaster GenAI」に対し、生成AIの品質を数値化・検証する基準を独自に構築した。
これにより、AIによる誤回答(ハルシネーション)や偏見的な表現、ユーザーにとって有害な出力の抑制を目指す。
品質評価の枠組みには、株式会社ベリサーブが提供する「QA4生成AIアプリケーション」を採用。
Rtoaster GenAIは自然言語でのコンテキスト検索や感覚的表現の理解に長け、ユーザーごとに最適化された情報を提供できることから、ECサイトや不動産ポータル、予約サービスなど多様な業種で導入が進んでいる。
策定された基準では、AIの出力結果がユーザーの検索意図とどの程度一致しているかをスコア化し、事実誤認の有無も評価。さらに、性別・年齢・人種に関するバイアスや景品表示法・薬機法といった法的観点からのチェックも盛り込まれている。
品質評価が普及の鍵に 企業導入の判断基準として注目
今回の品質基準策定は、製品の信頼性向上に大きく寄与する取り組みである。特に、出力の妥当性や法令順守、バイアス抑制といった観点を含む多面的な評価枠組みを導入した点は、企業利用における安心材料として機能するだろう。
ユーザーが情報を検索・判断する際の根拠の透明性が高まり、企業のブランド毀損リスクを低減する効果も期待できる。
一方で、品質評価にはコストや複雑さが伴い、表現力の制限や独自基準による標準化の課題も残るため、今後の整合性確保が重要となる。
今後は、業界全体で評価指標の共通化や第三者機関による認証制度の整備といった動きが進展する可能性が高い。とりわけ医療、金融、法務など高い説明責任が求められる分野では、精緻な品質管理体制が競争優位性を左右する要素になりうる。
また、Rtoaster GenAIのように検索意図の文脈理解やパーソナライズ機能を備えるAIが普及するなかで、「どのような意図で、どのような根拠をもって回答したか」を説明可能にする機能の実装が求められる局面も増えると考えられる。
品質基準は単なるリスク回避のための仕組みにとどまらず、生成AIが社会的に受容されるための「信頼インフラ」としての役割を強めていくだろう。ゆえに今回の取り組みは、将来的なAIガバナンスの基礎を築く重要な一歩であると位置づけられる。