メタ、AIスパム投稿に対抗 フェイスブック上の収益化停止や表示制限を強化

現地時間2025年7月14日、米メタはフェイスブックにおいて急増する生成AIを用いたスパム投稿に対処することを明らかにした。
投稿の重複やオリジナル性の乏しいコンテンツを投稿するアカウントに対し、収益化の権利停止やレコメンド対象からの除外措置を導入する方針だ。
フェイスブック上で生成AIスパム排除へ、メタが投稿精査を本格化
メタはフェイスブックに蔓延する生成AIを用いたスパムコンテンツへの対策を強化すると発表した。
今回の方針では、他人の人気投稿をわずかに改変し大量に再投稿するアカウントを対象に、収益化の権利を剥奪し、タイムラインやおすすめ欄への表示を制限する。
現在SNS上では、従来は人力で行われていたコンテンツ盗用が、生成AIの活用により数千件単位で自動化され、情報流通に深刻な影響を与えている。
結果として、オリジナルのクリエイターが不当に埋もれ、ユーザー体験も損なわれている状況だ。
メタはブログ投稿で「同じミームや動画が何度も表示され、他のクリエイターになりすましたアカウントや、スパム的なアカウントを用いたコンテンツが増えている」と述べ、今回の対策の必要性を強調した。
単なる転載や簡易な編集ではなく、意味のある付加価値がない場合には制裁の対象とする。
新たなポリシーでは、重複コンテンツの表示回数を減らし、オリジナル投稿へのリンクを付加するテストも実施。こうした変更は今後数カ月にかけて段階的に展開される予定である。
メタは、生成AIによるスパム行為を「AIスロップ(※)」と表現し、2025年上半期だけで関連アカウント50万件を取り締まり、1000万件以上のなりすましプロフィールを削除したと明かしている。
こうした動きは、YouTubeがショート動画領域で導入したAIスロップ対策に続く流れといえる。
※AIスロップ:生成AIによって量産された低品質なコンテンツやミーム、動画などがSNS上に繰り返し投稿され、タイムラインを埋め尽くす現象。ユーザー体験の低下や情報のオリジナリティ毀損を招く。
誤検知リスクや表現の自由とのせめぎ合いも
今回の施策により、オリジナルコンテンツの発見性が高まり、クリエイター保護が強化される一方で、表現の自由や誤検知のリスクが新たな課題となる。
メタには現時点でAIによる監視体制には誤判定が多いとの指摘があり、7月18日現在では3万人以上のユーザーが人間による審査の導入を求めて署名活動を行っている。
また、メタはクリエイターが自分のコンテンツがポリシー違反に該当するかどうかを確認できるツールの提供も開始。
透明性向上を図りつつも、AIの判定結果が創作活動に与える影響には今後も注視が必要だ。
このように、生成AIによる投稿が急速に増加するなかで、プラットフォーム運営側の対応は進化を迫られており、ユーザー体験の質と表現の多様性のバランスをどう取るかが問われている。