仮想通貨法案巡りトランプ氏と反対議員が協議 GENIUS法再審議へ前進

2025年7月16日、トランプ米大統領は自身のSNSで、仮想通貨関連法案「GENIUS法」の再採決に向けて議員と協議を行ったと発表した。
共和党内の反対によって一度否決された法案の審議入りが再び動き出す可能性が浮上している。
トランプ氏、下院保守派と会談 仮想通貨法案の再審議へ動き加速
トランプ米大統領は16日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、仮想通貨関連法案「GENIUS法」の再採決に向けた動きを明らかにした。
ホワイトハウスに反対派を含む12名の共和党議員のうち11名を招き、短時間の協議を実施。全員が翌17日に予定される手続き投票に賛成する意向を示したという。
この会談にはマイク・ジョンソン下院議長も電話で参加し、早期採決を支持する考えを示した。背景には、同法案を含む仮想通貨3法案の審議入りを阻止した共和党保守派13名の反対がある。
特に「GENIUS法」は、ステーブルコイン規制を柱とする重要法案であり、「Clarity法」などとともに“仮想通貨週間”の中心的な議題とされていた。
7月16日(日本時間)、下院では動議が196対223で否決され、審議が頓挫。反対の理由として、グリーン議員やロイ議員らは、中央銀行デジタル通貨(CBDC ※)を明確に禁止する条項が不十分であると主張した。
※中央銀行デジタル通貨(CBDC):中央銀行が発行するデジタル形式の法定通貨。電子マネーとは異なり、国家が直接供給する通貨とされ、プライバシーや政府の監視リスクが懸念されている。
仮想通貨法案再浮上も不確実性残る 保守派との溝と今後の焦点
今回の会談によって、トランプ政権は党内の意見集約に一定の進展を見せたといえるが、法案成立への道筋は依然として不透明だ。
共和党保守派の中には中央銀行デジタル通貨に対する強硬姿勢を貫く議員もおり、条文修正がなければ再び反対票が投じられる可能性がある。
また、仮想通貨法案の審議遅延は、94億ドル規模の歳出削減パッケージや2026年度国防予算法案といった他の重要法案にも影響を与えている。
共和党指導部は今週末までに歳出案の対応を迫られており、ジョンソン議長のもとで調整が続く見通しだ。
一方で、トランプ大統領は会談後に「議員らの迅速で前向きな姿勢に感謝する」と述べ、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンを改めて強調した。
この発言は、仮想通貨に対する政策推進を政権の象徴的な取り組みとして位置づける意図を示している。
今後、中央銀行デジタル通貨の扱いや規制範囲を巡って法案の修正案が示されるかが最大の焦点となる。
再採決の成否は、共和党内の足並みとトランプ氏の交渉力にかかっているといえる。