Gen-AXが自律思考型AIで音声応対を革新 三井住友カードと「X-Ghost」実証へ

2025年7月16日、日本のAIスタートアップGen-AXは、自律思考型AIによる音声応対ソリューション「X-Ghost(クロスゴースト)」を開発したと発表した。三井住友カードが先行導入し、両社による実証を経て年内の正式提供を目指す。
自然な会話で応対するAI音声オペレーター「X-Ghost」
Gen-AX株式会社は、コンタクトセンター向けに開発した自律思考型AIソリューション「X-Ghost」を発表した。これは生成AI技術を活用し、人間らしい音声応対を実現する対話型AIシステムである。
X-Ghostの最大の特徴は、深層学習と自然言語処理により、AIが自ら思考し、問い合わせ内容に即した回答をリアルタイムに行える点にある。応対は音声で行われ、自然な言い回しや適切な間合いを伴う会話が可能だという。
さらに、業務知識を構造化して学習データとして取り込み、対話ごとの品質を評価・蓄積する仕組みを備える。これにより、AIは運用を重ねるごとに自律的に学習し、応対精度を高めていく。いわば「進化するオペレーター」としての機能を持つ。
三井住友カードではすでにX-Ghostの先行導入を開始しており、24時間365日体制での音声対応を構築することで、利便性と顧客体験の向上を目指す。
製品化後の提案および販売は、親会社であるソフトバンクが担当する計画である。
人材難と品質ばらつき解消へ AIオペレーターの可能性と課題
X-Ghostは、慢性的な人材不足や応対品質のばらつきといったコンタクトセンター業界の構造的課題に対する解決策として期待できる。人手を介さずに多様な問い合わせへ即応できることから、業務負荷の軽減や離職率の改善につながる可能性がある。
加えて、製品やサービスの更新にも柔軟に対応できるよう設計されており、商材の多い企業においても、リアルタイムに内容を反映し、顧客ごとに最適な応対が可能となる。このような柔軟性は、人的オペレーターには難しい領域だ。
一方で、AIによる対応には課題もある。想定外の質問や高度な感情対応など、現時点では人間にしか担えない部分も多く、導入にあたっては業務の切り分けやリスク評価が欠かせない。
X-GhostはBPR(業務改革)やデータ整備支援も提供することで、こうした課題への対応も視野に入れている。
今後、Gen-AXと三井住友カードによる実証が進む中で、実運用に耐えうる精度と信頼性が検証されれば、他業界への展開も加速する可能性がある。
AIによる音声応対の標準化が進めば、顧客接点の在り方そのものが大きく変わる未来も見えてくる。