靴卸の東邦レマックが暗号資産に10億円投資へ BTC・ETHで将来の成長に備え

2025年7月15日、東証スタンダード上場の東邦レマックが、暗号資産ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)を総額10億円まで段階的に購入する方針を発表した。資産運用と将来のデジタル金融対応を視野に入れた戦略的決定だ。
東邦レマック、1年間でBTCとETHを最大10億円取得へ
婦人・紳士靴の卸売業を主力とする東邦レマックは、2025年7月から2026年6月にかけての1年間で、暗号資産ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)を最大10億円まで取得する計画を公表した。
発表によれば、暗号資産の購入は段階的に行われ、「信頼性の高い暗号資産取引所」を通じて実施されるという。また、会計処理やリスク管理体制の整備も並行して進め、安全性と透明性の確保に注力する方針だ。
同社は今回の決定について、資産運用の一環であると同時に、将来的なデジタル金融領域への対応力強化を目的としたものであると説明している。急速に変化する経済環境において、保有資産の多様化を図る狙いがあると見られる。
製造小売業が暗号資産を積極的に取得する動きはまだ珍しいが、既に国内では、ファッションブランドANAPやゲーム事業のgumi、エネルギー関連のリミックスポイントなど、複数の上場企業がBTC保有に踏み切っている。
「備え」か「賭け」か 非金融企業の仮想通貨投資が拡大中
東邦レマックの決定は、非金融業界における暗号資産保有の新たな潮流を象徴する動きとして注目される。従来、暗号資産はハイリスク資産として敬遠されがちだったが、近年ではインフレヘッジや将来の金融インフラへの備えとして再評価されつつある。
特に、ビットコインは金と並ぶ「デジタルゴールド」とも呼ばれ、その希少性と非中央集権性から長期保有に適した資産とされる。一方で、価格変動が激しい点や法制度の不確実性など、リスクも依然として無視できない。
こうした状況下で東邦レマックが採用したのは、年間上限額を定めて段階的に購入するという「分散取得」戦略である。これにより、価格の変動リスクをある程度抑えながら、将来的な資産価値の向上を狙うことができる。
現在、同様にBTC取得を予定している上場企業には、マックハウス、北紡、イクヨ、東京通信グループなどがあり、業種を問わず企業の分散投資ニーズが広がっていることがわかる。
非金融企業が暗号資産を保有する時代が本格化しつつある今、東邦レマックの動きは「時代の先を読む一手」として評価される可能性もある。