ビットトレード、JTB・NTTテクノクロスとWeb3共同研究 NFT推し活で地域活性化へ

2025年7月15日、暗号資産取引所ビットトレードは、JTBおよびNTTテクノクロスと共に、「推し活」を活用した持続可能な地域活性化を目指すWeb3共同研究の開始を発表した。NFTを軸に、ファン活動と地域経済を接続する新たなプラットフォーム構築を目指す。
NFTで「推し活」と地域経済をつなぐ新モデル
ビットトレードが発表した本共同研究は、「推し活」を起点とした地域活性化のあり方にWeb3技術で変革をもたらす試みである。JTB、NTTテクノクロスと連携し、NFT(※)を基盤とした共創型プラットフォームの構築に取り組む。
背景には、従来の「推し活×地域施策」が直面していた課題がある。ファン、プロダクション、地域事業者など多様な関係者が関与するため、利害調整が複雑化し、施策の持続性や経済効果の可視化が困難だった。
新たに構築されるプラットフォームでは、NFTを活用して「プロダクションからファンへ『推し活』の動機づけ→ファンによる地域サービスのモノやコトの消費→送客実績に応じて、地域サービス事業者からプロダクションへのインセンティブの付与→推し活実績に応じて、プロダクションからファンへの特典付与」という一連の価値循環を可視化・効率化する。
ビットトレードは、この循環を支える決済インフラとして、暗号資産やステーブルコインとの連携可能性を検証する。JTBは地域ネットワークの活用、NTTテクノクロスはプラットフォーム全体の設計・実装を担当する。
※NFT(非代替性トークン):ブロックチェーン上に唯一性を担保されたデジタル資産。画像・動画・参加証明など多様なデータに応用される。ファン活動や地域活性との連携例も増えている。
Web3活用で広がる可能性と課題 地方創生の新たな選択肢に
今回の取り組みが注目される理由は、ファンコミュニティの熱量と地方経済を直結させるWeb3的な設計思想にある。NFTを介した記録と報酬の仕組みが整えば、「推し活」の経済価値を明確に測定・還元できるようになる可能性がある。
この構想が実現すれば、ファンは「応援する」ことそのものが地域貢献につながるという新たな参加価値を得る。また、地域事業者にとっては、単なる観光施策を超えて、継続的なファンの流入と消費を期待できる仕組みとなる。
一方で、プラットフォームの運用に際しては、NFT発行・流通のコスト、ユーザー教育、著作権管理といった実務上の課題も多い。さらに、Web3技術に対する社会的理解や規制の整備状況が不十分な地域では、普及に向けた下地作りが不可欠だ。
それでも、地域資源とファン経済を融合させる本取り組みは、従来の地方創生とは異なる新たな選択肢として注目を集めるだろう。ファンの情熱を経済価値に変える“推し活経済圏”の形成は、今後のWeb3活用の重要な試金石となりうる。