グーグルのNotebookLM、専門家連携で「注目のノートブック」公開 AIによる知識探索が加速か

2025年7月14日、米グーグルはAIドキュメント支援ツール「NotebookLM」に新機能を追加したことを発表した。世界的な専門家らと共同で作成された「注目のノートブック(Featured notebooks)」をトップページに掲載し、ユーザーが高品質な知識ベースへ直接アクセスできる仕組みである。
専門家監修のノートブックでAI活用が実践的に
NotebookLMはAIがユーザーのアップロードしたドキュメントに基づいて要約や質問応答を行う生成AIツールである。今回追加された「注目のノートブック」は著名な著者や研究者、非営利団体、出版物と連携して作成された8冊のノートブックで構成される。
内容は2025年の経済予測(英エコノミスト誌)、ベストセラー作家アーサー・C・ブルックスによる幸福論、イエローストーン国立公園の科学ガイド、オックスフォード大学の「Our World In Data」による人間の幸福指標、ウィリアム・シェイクスピアの全戯曲など、多岐にわたる。
ユーザーは各ノートブックに対し、資料の全文閲覧、AIへの質問、音声による要約再生、マインドマップ形式での主題の把握など、複数の方法で理解を深められる。回答では引用元が明記されるため、信頼性の高い知識探索が可能だ。
ブラウザ版NotebookLMで利用でき、対象ユーザーは順次拡大されている。
「知の民主化」進む一方、AIの精度と偏りには注意
「注目のノートブック」は専門知識の一般開放という意味で、AIによる知の民主化を象徴する取り組みだと評価できる。著名な情報源をベースにしている点で、一般的なAIチャットとは信頼性の差別化が図られている。
初学者や多忙なビジネスパーソンが短時間で高品質な知見にアクセスできる点は、教育や研究分野において特に有益なものとなるだろう。また、旅行ガイドや文化ガイドといった実用的なテーマも含まれているため、利用場面は多岐にわたると考えられる。
一方で、AIによる回答内容が元資料の文脈から逸脱するリスクや、参照元のバイアスがそのまま反映される可能性も懸念される。そのため、ユーザーにはAIの出力を鵜呑みにせず、あくまで補助的なツールとして活用する姿勢が求められるだろう。
今後は言語・地域・分野別のノートブックが拡充されることで、NotebookLMが専門知識へのインターフェースとして定着していくことが期待される。