メタ、AI開発向け「プロメテウス」始動 超大規模データセンター建設へ

2025年7月14日、米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグCEOは、AI開発を支える大規模データセンターの建設を進めていると発表した。最初の施設「プロメテウス」は2026年に稼働予定で、世界最大規模のAIクラスターを目指すという。
メタ、AI開発加速へ「プロメテウス」着工
メタのザッカーバーグCEOは14日、自社のSNS「スレッズ」において、次世代AIの開発基盤として複数の巨大データセンターを建設中であると明かした。初号施設は「プロメテウス」と命名され、2026年に稼働開始する予定だ。
このプロジェクトは、メタが掲げる汎用AI(※)の実現を視野に入れた取り組みの一環である。これまで同社はAI分野においてオープンAIやグーグル傘下のディープマインドに後れを取っていたが、ここにきて体制を強化している。
直近では、他社から優秀なAI研究者を多数引き抜き、「メタ・スーパーインテリジェンス・ラボ」を新設。さらに、AIスタートアップであるスケールAIの共同創業者アレクサンダー・ワン氏を最高AI責任者に迎え、同社株式の49%を取得した。
ザッカーバーグ氏は、これらのデータセンターがマルチギガワット規模の「スーパークラスター」となることを強調しており、一般的なデータセンター(数百メガワット規模)を大きく凌駕する構想である。
※汎用AI(AGI):特定の作業に限らず、人間と同等の知能を持ち、あらゆるタスクに対応できる人工知能。
AI競争激化 巨大施設に潜むリスクと可能性
メタの動きは、AI開発競争がインフラレベルでも加速している現実を浮き彫りにしている。
同社のスーパークラスターは巨大な演算能力を備えることで、AIの学習速度やモデル精度の向上が期待される一方、膨大な電力消費や冷却コスト、地政学的な安定性の確保といった課題も無視できない。再生可能エネルギーの調達やサーバー管理の高度化など、持続可能な設計が求められるだろう。
また、メタがAGIを追求することで、AI倫理や安全性への対応も問われることになると考えられる。特にAGIが誤作動を起こした場合の社会的影響は甚大であり、政府や国際機関との連携も今後の焦点となるだろう。
AIスタートアップを支援しつつインフラを独自に構築する今回のメタの戦略は、GAFA間の覇権争いを新たな局面に進める可能性がある。プロメテウスは単なるデータセンターではなく、未来のAI産業構造そのものを形作る試金石となるかもしれない。