Dataiku、マルチAIエージェント時代に対応 AI開発・管理機能を強化し企業導入を加速

2025年7月9日、ユニバーサルAIプラットフォームを提供するDataikuは、東京都内で記者説明会を開催し、生成AIからマルチAIエージェントに至る企業のAI活用の進化に対応した機能強化と顧客事例を紹介した。
AIエージェント開発と管理機能をエンタープライズ向けに拡張
Dataikuが都内で開催した説明会では、企業の生成AI活用が単一のAIコンパニオンから複数のAIエージェント連携へと進化する中で、求められるプラットフォーム機能について説明が行われた。
製品&ビジネスソリューション担当SVPのソフィー・ディオネ氏は、750社以上の顧客企業が同社プラットフォームを導入しているとしたうえで、ノーコード/プロコード両対応のAIエージェント開発ツールや、エージェントの動作可視化ツールを紹介。ガバナンスを含む管理機能の強化にも言及した。
また、同社はエージェントの開発からデプロイまでをエンタープライズ規模で展開可能な設計とし、データ・分析・モデルを統合的に扱える点を強調した。
プラットフォーム戦略担当VPのジェド・ドアティ氏は、訪日中に顧客企業と面談した経験を踏まえ、AI活用がチャットボットからマルチAIエージェントへと移行していると述べた。
業務自動化の高度化に伴い、エージェント統合管理のニーズが高まっているという。
事例として、LVMHが機械学習ユースケースの再利用と開発期間の短縮を実現したことが紹介された。ミシュランでは、製造現場の専門家によるセルフサービス型データ活用が可能となり、900人以上のユーザーのうち8割が現場従事者であると説明された。
Dataikuは、主要な生成AIやデータソースと連携可能なアグノスティック設計を採用しており、今後はMCP(※)への対応も予定している。
※MCP(Model Connector Platform):さまざまなAIモデルやアプリケーションと柔軟に接続・連携するためのプラットフォーム構想。
マルチAI活用の本格化で高まる統合管理と柔軟性
企業がAIエージェント活用を本格化させる中で、複数エージェントの連携と統合管理の重要性が増している。Dataikuの方向性は、タスク自動化を超え、業務最適化や収益向上を見据えたインテリジェント・プロセスの構築に向けたものといえる。
注目すべきは、プラットフォームの柔軟性と拡張性にある。ノーコード/プロコード両対応により、技術スキルの異なる人材が共にAI開発に関与できる点は、社内DX推進において大きな利点となるはずだ。ガバナンスを内包した管理機能の整備も、大企業にとって不可欠であろう。
一方で、マルチAIエージェントの運用には高度なオーケストレーションが必要となるため、初期学習コストや体制構築の負担が課題となりうる。
また、ビジネスプロセスとエージェント設計を密接に連動させる必要があり、経営戦略上の意思決定が求められる。
それでも、Dataikuのような技術に依存しない設計基盤を持つプラットフォームは、異なるAIサービスやデータ環境が混在する企業にとって有力な選択肢となる。
今後、より多様な業種でマルチAIエージェントの導入が進めば、データ活用と業務変革が一体で進行する時代が訪れる可能性もあるだろう。