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    最大級のヘッジファンド、マン・グループがAIを用いた投資シグナル自動発見に着手 AIがトレーディング戦略を自動生成

    2025年7月10日、英マン・グループのクオンツ株式部門が、新たなAIシステム「AlphaGPT」の運用を開始したことが明らかになった。
    開発は米ボストン拠点のマン・ニューメリックで、株式取引における投資判断の自動化を目的としている。

    目次

    AIがトレーディング戦略を自動生成、実運用も視野に

    世界最大級の上場ヘッジファンド運営企業である英マン・グループは、AIによるクオンツ取引(※1)の高度化に踏み出した。
    ボストンを拠点とする同社の部門「マン・ニューメリック」が開発した「AlphaGPT(アルファGPT)」は、トレーディングアイデアの生成からコード化、バックテスト(※2)に至るまでの一連のプロセスを自律的に行うシステムである。

    このAIは、膨大なデータを解析し、リサーチャーが行う探索的プロセスを模倣。
    発見した投資シグナルをもとに、戦略を自動構築し、過去の市場データで検証まで行う。
    現在注目を集める「エージェント型AI」の実例であり、従来は人手に頼っていた作業の一部を置き換える。

    同社シニアポートフォリオマネジャーのジアン・ファン氏によれば、AlphaGPTが導出した数十の投資シグナルは既に社内の投資委員会で承認され、今後、実際の取引にも応用される見込みだという。

    AIによる誤情報生成(いわゆるハルシネーション)は依然として課題だが、人間による最終検証を挟むことで、運用現場での信頼性を確保しながら導入を進めている。

    ※1 クオンツ取引 :株価や金利などの大量データを統計モデルやアルゴリズムで分析し、売買タイミングを自動で判断・実行する運用手法。

    ※2 バックテスト:過去の市場データを用いて、ある取引戦略の有効性を検証する手法。

    情報の雪崩に対抗 AIによるリサーチ自動化が進展

    クオンツ取引の世界では、近年、リサーチャーが直面する情報量の爆発的増加が課題となっている。
    学術論文や金融データ、企業開示情報などが日々大量に流れ込む中、すべてを人間が処理するのは非現実的だ。

    こうした中、AlphaGPTのようなエージェント型AIの導入は、複雑化する市場分析の自動化に向けた新たな一手と位置づけられる。
    ファン氏も「クオンツリサーチで従来不可能だったより複雑なタスクの自動化に向け、AIエージェントによるワークフローを構築できるのではないかという狙いがある」と述べており、AIをリサーチの「共働者」として捉える姿勢がうかがえる。

    ただし、AIが生成する投資戦略の正確性や市場への影響については慎重な検討が必要であり、人間の判断を排除した完全自動化にはなお距離がある。

    今後は、AIが提案する戦略と人間の判断とのハイブリッド運用が主流となりそうだ。
    金融市場の中で、AIはもはやツール以上の存在へと進化しつつあり、アルファ(超過収益)を探す競争に新たな局面をもたらしている。

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