OasysがGATESと連携、110億円規模不動産のRWAトークン化に着手

2025年7月11日、ゲーム特化型ブロックチェーンのOasysは、不動産テック企業GATES GROUPと戦略的パートナーシップを締結したと発表した。
RWA(現物資産)領域への本格参入を掲げ、都心部を中心とする110億円相当の不動産資産のトークン化を開始する。
OasysとGATESが提携 国内不動産110億円をRWA化へ
Oasysは、不動産テック企業GATES GROUPと戦略的パートナーシップを締結し、RWA(※)領域に本格参入すると発表した。
今回の取り組みでは、まず国内の収益不動産を対象に、110億円相当の資産をトークン化する計画で、すでに組成準備を完了している。
Oasysは、ガス代無料と高速処理を特徴とし、これまでゲーム領域に特化したブロックチェーンとして展開されてきたが、今回の提携により現物資産のトークン化という新たな領域へと活用範囲を拡大する。
第一フェーズでは、国内不動産市場の約1%にあたる30兆円のうち、5兆円規模の資産を段階的にRWAトークンとして流動化する予定。第二フェーズ以降はアジアや欧州の高付加価値資産への展開も視野に入れる。
Oasys代表の松原亮氏は、日本発のIPや文化的資産は世界的に高く評価されているとして、「『日本資産』をRWAとして提供する取り組みは、日本にルーツを持つOasysの強みを活かせる分野だと考えています」と述べた。
さらに、「日本ならではの『本源的価値を有する』ユーティリティ・モデルの提供を模索してまいります」としている。
一方、GATES GROUP代表の関野雄志氏は、高い信頼性を持つ日本の不動産資産に収益性とユーティリティを加えることで、「グローバルな投資家層が日本資産へ容易にアクセスできる次世代の投資インフラを構築してまいります」とコメントしている。
※RWA(Real World Asset):現実世界の資産(不動産・美術品・観光資源など)をトークン化し、ブロックチェーン上で売買や運用が可能なデジタル資産として扱う仕組み。
RWAでOasys経済圏を拡張 新たな投資家層の流入に期待
OasysがRWA領域へ参入した背景には、ゲーム領域で培ったブロックチェーン技術を他産業へ応用し、経済圏を広げる意図がある。
現実資産のデジタル化は、従来の投資対象に比べて透明性や流動性の向上が期待され、Web3文脈における「実需」を支えるユースケースとして注目されている。
今回の取り組みは、Oasysが単なるゲームプラットフォームにとどまらず、資産運用のインフラとして進化する兆しを示すものといえる。
特に、高利回りを想定したトークン設計や、信頼性の高い日本の不動産を裏付けとした資産性は、安定運用を求めるグローバル投資家のニーズとも合致する。
他方で、RWA領域では法規制・監査体制・資産の真正性の担保といった課題も残されており、一般投資家への普及には慎重な設計が求められる。
Oasysにとっては、こうした現実世界との接点をいかに丁寧に設計できるかが、今後の成長の鍵を握るだろう。
本件は、Oasysが掲げる「ユースケース主導の経済圏構築」の第一歩であり、Web3プロジェクトが日本発で世界に拡張するための布石としても注視される。