フォルクスワーゲン、自動運転検証にHivemapperのDePIN地図を導入

2025年7月8日、DePINプロジェクトのハイブマッパーが提供するリアルタイム地図サービス「ビーマップス(Bee Maps)」が、独フォルクスワーゲンの自動運転開発子会社フォルクスワーゲンADMTに採用された。ビーマップス公式ブログが同日に発表した。
DePIN技術で最新地図を提供 自動運転精度向上へ
ビーマップスは、分散型物理インフラネットワーク(DePIN※)の一環として構築されたサービスである。
同サービスは、世界中のドライバーが専用の「ハイブマッパーカメラ」を車載し、日々の運転で収集したストリートレベルの画像データをAI処理して最新の地図情報を生成する仕組みを持つ。これにより、道路標識や工事エリアといった変化をリアルタイムに反映し、地図の鮮度を維持している。
今回フォルクスワーゲンADMTは、同社の自動運転技術の検証においてビーマップスを活用する方針を示した。特に、歩道付近での乗降地点特定の精度を高めるために、Hivemapperが提供する高頻度更新の地図が重要な役割を果たすという。
ハイブマッパーは、ブロックチェーン技術を基盤にしたWeb3プロジェクトで、ソラナ(Solana)上に構築されている。参加ドライバーはデータ提供の対価として独自トークン「HONEY」を取得でき、地図の分散管理とインセンティブ設計が連動するエコシステムを形成している。
※DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks):ブロックチェーン技術を活用し、物理インフラを分散的に構築・運営するネットワーク。従来の中央管理型モデルに代わる新しいインフラ形態として注目される。
自動運転とDePIN連携の可能性 業界の新潮流となるか
今回のフォルクスワーゲンADMTによる採用は、DePIN技術が自動運転分野において実用フェーズへ移行しつつあると言える。
将来的には、他の自動車メーカーやモビリティサービス企業が追随する可能性も高いだろう。特に新興市場や途上国では、中央集権型地図インフラの構築コストが高いため、分散型の優位性が際立つと考えられる。
ただし、普及にはいくつかのハードルが存在する。
データ品質の均一化に向けて、AI処理アルゴリズムの精度向上やフィルタリング技術の進化が必要だ。また、規制当局との調整も避けられないだろう。
自動運転車がリアルタイム更新の地図情報を頼りにする場合、誤情報による事故リスクへの懸念が高まるため、標準化や認証制度の整備も必要になると考えられる。
総じて、分散型地図インフラはコスト効率や更新頻度の点で魅力的であり、業界の新潮流になる可能性がある。ただし、その定着には技術面・社会面双方での進化が不可欠だと言える。
参考:ビーマップス公式ブログ
https://beemaps.com/blog/admt-tests-bee-maps-mapping-and-pudo-precision-for-autonomous-mobility