ソラコム、生成AI搭載のIoT分析基盤「SORACOM Query」を国内正式提供へ

2025年7月9日、ソラコムはIoTデータ分析基盤「SORACOM Query」を同月16日に日本国内で正式リリースすると発表した。2023年の先行提供を経て機能が拡充され、IoT運用のさらなる効率化を目指す。
SORACOM Query正式提供、生成AIで自然言語クエリー対応
本サービスは、SORACOMプラットフォーム上に蓄積されるSIMの通信管理情報や、SORACOM Harvest Dataに蓄積された時系列のIoTセンサーデータを対象に、リアルタイムでの検索・分析を可能にする。これにより、大量のIoTデータを安全かつ効率的に扱える環境が提供される。
利用者はSORACOM上でSQLクエリーを直接実行でき、従来のようにデータを一旦ダウンロードして別途加工する手間が削減される見込みだ。
加えて、ダッシュボード作成サービス「SORACOM Lagoon」や外部BIツールとも連携し、データの可視化が容易に行える点も特徴だ。
今回の正式リリースでは、生成AIによる自然言語からSQLクエリーへの自動変換機能「QueryアシスタントAI」が搭載された。たとえば「過去1週間で通信量の多いデバイスを教えて」といった問いかけにも対応し、より直感的なデータ分析を実現する。
料金プランは2カ月無料のTrialプラン、月額課金のBusinessプラン、さらにはエンタープライズ向けのカスタム対応プランが用意されており、利用規模やニーズに応じた柔軟な選択が可能となっている。
生成AI活用でIoT分析が革新、運用効率と異常検知の精度向上に期待
SORACOM Queryの生成AI機能は、専門知識がなくても自然言語で複雑なクエリーを実行できるため、IoTデータ分析の敷居を大幅に下げると考えられる。これにより、データ活用のスピードが飛躍的に向上し、迅速な意思決定が可能になるのは大きなメリットだろう。
また、API提供により自社システムや他BIツールとの連携が強化される点は、企業の既存データ活用基盤にスムーズに組み込める利便性を示している。これにより、IoT運用の最適化や予兆保全の高度化につながる可能性がある。
一方で、大量データをリアルタイムに処理するためのインフラコストや、AIの解釈結果に依存しすぎるリスクも存在する。誤ったクエリー生成による誤解や分析ミスを防ぐため、利用者側の適切な検証体制が必要になるだろう。
総じて、SORACOM QueryはIoTデータのリアルタイム分析をより手軽にし、ビジネス現場での応用範囲を広げる新たな基盤として注目される。ただし、活用の効果を最大化するには適切な運用と人材育成が欠かせない点にも留意が必要だ。