アビスパ福岡、NewLoとパートナー契約 Web3×DAOでファン施策刷新

2025年7月7日、J1クラブ・アビスパ福岡のWeb3コミュニティ「アビスパDAO」は、Web3型ロイヤリティプログラムを展開するNewLoとパートナー契約を締結したと発表した。
暗号資産やNFTを活用し、ファン参加型のキャンペーン展開を進める見込みだ。
アビスパDAO、Web3キャンペーンに本格参入
アビスパ福岡が運営するWeb3コミュニティ「アビスパDAO(※1)」は、約8,700人のメンバーを有する次世代型のファン組織である。
そのDAOが今回、Web3マーケティングに特化したNewLoと提携することで、より実践的かつ報酬性の高いファン参加施策を展開することとなった。
提携の中核をなすのは、NewLoが開発・提供する「NewLo Quest」というキャンペーンプラットフォームだ。このプラットフォームを通じてアビスパDAOは、ミッション形式のコラボレーションキャンペーンを実施する。
参加者には、暗号資産やNFT(※2)、各種ギフトといった多様なインセンティブが提供される。
NewLoは分散型インセンティブ設計を得意とするWeb3スタートアップで、Sony Block Solutions Labsの支援プログラム「Soneium Spark」にも採択されている。
アビスパDAOは、単なるファンコミュニティにとどまらず、クラブの運営に意見を届けられる参加型の枠組みとして進化している。
6月には三井住友銀行と連携し、「DAOアカデミー共育プログラム」の開始も発表。これはDAOメンバーの投票によって育成選手への支援内容を決定するという、従来にない応援スタイルだ。
※1 DAO(Decentralized Autonomous Organization):ブロックチェーン上の仕組みを用いて、管理者不在で運営される自律分散型の組織形態。参加者が意思決定に関与できる点が特徴。
※2 NFT(Non-Fungible Token):代替不可能なトークンの略で、唯一性を持つデジタル資産を示す。デジタルグッズやアートなどに活用されている。
DAO主導の新たな応援文化、地域密着から分散型へ
今回の提携は、DAO内のエンゲージメントを強化するとともに、新規参加者の獲得にもつながる、参加型クラブ運営のモデルケースとして注目できる。
「DAOイベントに参加する」といったミッションを通じて、暗号資産やNFTといったデジタル報酬が得られるWeb3ならではのロイヤリティ設計は、単なるファンサービスの枠を超えた価値循環を可能にするだろう。
一方で、報酬目的の参加がコミュニティの質を損なうリスクもあると考えられる。
エンゲージメントの”量”と”質”のバランスが問われる中では、DAO運営側の設計力が今後の鍵を握っていると言える。
Web3領域は制度・法制の整備もまだ発展途上にあるため、アビスパDAOのような先行事例は、他クラブやエンタメ業界にとっても重要なケーススタディになると考えられる。
今後1〜2年の実績が、スポーツとDAOの結節点としてのモデルの妥当性を左右すると言えそうだ。