米シークレットサービス、仮想通貨580億円相当を犯罪者から押収 過去10年で急増する詐欺に対応強化

2025年7月6日、米シークレットサービスが過去10年間にわたり犯罪に関連した仮想通貨4億ドル(約580億円)分を押収していたとブルームバーグが報じた。背景には、高度化する詐欺手法への対応と、国際的な捜査体制の強化がある。
仮想通貨詐欺対策でシークレットサービスが580億円押収
米シークレットサービスのグローバル捜査オペレーションセンター(IGOC)は、過去10年間にわたり犯罪収益として使用されていた仮想通貨4億ドルを押収した。関係筋の話によると、これらの資産は詐欺や横領などの刑事事件に関連していたとされる。
IGOCはブロックチェーン分析やオープンソースツール、その他の捜査技術を駆使し、犯人の資金の流れを追跡してきた。押収された仮想通貨の大半は、単一のコールドウォレット(※)に保管されており、現在では世界最大規模の仮想通貨保管口座の一つとされている。
特に注目されたのは、「豚解体(pig butchering)」と呼ばれる巧妙なロマンス詐欺に関連した押収事案である。この事件では、コインベースやテザー社などの協力を得て、2億2,500万ドル(約325億円)相当のUSDTが差し押さえられた。
同様の詐欺は金融機関にも波及しており、カンザス州のハートランド・トライステート・バンクでは、CEOが騙され約5,000万ドル(約72億円)を不正に流用した結果、2023年に銀行そのものが破綻する事態となった。FBIはその後、800万ドル以上の資金回収に成功している。
※コールドウォレット:インターネットから切り離して仮想通貨を保管する方法。ハッキングリスクが低いとされる。
捜査機関の仮想通貨対応が進化 詐欺の国際化に対応できるか
シークレットサービスによる大規模な仮想通貨押収は、国家レベルでのデジタル資産対策の強化を象徴している。特に、IGOCのような捜査機関が専門性を持ち、民間企業との連携を深めることで、詐欺の検挙率が向上する効果が期待できる。
一方で、詐欺手法の巧妙化や犯人の国際的な分散は、今後の大きなリスク要因といえる。たとえば、ロマンス詐欺ではSNSやチャットアプリを通じて国境を越えた犯行が容易になっており、技術的な追跡だけでは対応が困難になる恐れもある。
ただし、仮想通貨の特性上、すべての取引履歴がブロックチェーン上に記録されるという透明性があるため、訓練された捜査機関がそれを活用すれば、従来型の金融詐欺よりも検挙のチャンスは高いという見方もできる。
IGOCは現在、60か国以上で法執行機関向けの研修を実施し、仮想通貨犯罪への対処法を広めている。技術の進化に法が追いつく必要がある中で、国際連携と教育による抑止力の構築が重要なカギとなるだろう。