米ストラテジー社、集団訴訟に発展 ビットコイン59億ドルの含み損で波紋

2025年7月2日、米ポメランツ法律事務所は、ビットコインの財務戦略をめぐり米ストラテジー社および一部役員を相手取った集団訴訟をバージニア州東部地方裁判所に提起したと発表した。
ビットコイン財務戦略の過大評価が争点に
ニューヨークに拠点を置くポメランツ法律事務所は、米ストラテジー社のビットコイン保有戦略に関連する虚偽発言とリスク軽視を理由に、集団訴訟を提起したと発表した。原告は2024年4月30日から2025年4月4日までの投資家だという。
この訴訟では、ストラテジー社がビットコインの収益性を過大評価する一方、ボラティリティなどのリスクを軽視し、投資家を誤導したと主張している。
具体的には、ストラテジー社は財務運営や投資戦略の優位性を強調し、新たな会計規則「ASU 2023-08」に基づくデジタル資産の価値評価に伴う損失リスクを十分説明しなかったとされる。
同規則は四半期ごとの時価評価を義務付け、未実現損益を資産に反映させるもので、従来の減損基準を見直したものである。
ストラテジー社は2025年第1四半期決算で約59億ドルの未実現公正価値損失を計上したことを発表。これを受けて株価は急落し、投資家の不満が表面化したと考えられる。
BTC財務戦略に逆風 リスク開示のあり方に再注目
今回の訴訟は、ビットコインを財務戦略に組み込む企業の姿勢に一石を投じるものだといえる。新会計規則により仮想通貨資産の時価評価の透明性は高まったが、それに伴うリスク説明の不十分さが企業価値を毀損する事例が明るみに出た形だ。
ストラテジー社の例では、仮想通貨価格下落時の損失インパクトが投資家心理を冷やし、株価の急落を招いたと考えられる。これにより、他の上場企業やベンチャーキャピタルも財務戦略の見直しを迫られる可能性がある。
特にビットコイン保有を成長戦略の柱とする企業は、会計上の透明性だけでなくリスク説明責任を問われる局面が増えそうだ。
一方で、ビットコイン価格が再び上昇基調に転じた場合、新会計基準に基づく未実現利益の計上が業績の追い風になる展開も十分あり得る。こうした中で、企業はリスクとリターンのバランスをいかに説明し、長期的な成長戦略にデジタル資産をどのように位置づけるのかが問われる局面が続くはずだ。
規制当局や市場関係者による監視も厳格化し、企業のディスクロージャー基準は一段と高度化していくとみられる。
結果として、財務の多様化を進める企業と、デジタル資産リスクを敬遠する企業との二極化が進むシナリオも想定される。今後、市場はこうした企業姿勢を冷静かつ厳格に評価していくことになるだろう。