NRIセキュア、「Alli LLM App Market」専用のAIセキュリティ対策を提供 AI特有の脅威を監視

2025年6月24日、NRIセキュアテクノロジーズは、Allganize Japanが提供する「Alli LLM App Market」向けに、AIシステム特有のリスクに対応するセキュリティ対策支援サービスの提供を開始すると発表した。
「Alli LLM App Market」専用のセキュリティ支援を開始
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社は、Allganize Japanの提供する生成AI基盤「Alli LLM App Market」専用のAIセキュリティ対策支援サービスを発表した。
このプラットフォームは、ノーコードで業務特化型アプリケーションやAIエージェントを構築できるのが特徴で、企業における生成AI導入の迅速化を可能にしている。
しかし、生成AIの普及とともに、「プロンプトインジェクション(※)」「誤情報生成」「機密情報の漏洩」など、AI特有のセキュリティ課題も浮上している。
NRIセキュアはこうしたリスクを踏まえ、「AIセキュリティ診断サービス(Red Team)」と「AIセキュリティ監視サービス(Blue Team)」を、「Alli LLM App Market」向けに最適化し、構築から運用までを一貫して支援する新メニューを整備した。
具体的には、構築段階では専門家がリスクを洗い出す「AIセキュリティ診断」を実施し、設計段階から安全性を確保する。
また運用段階では、同社の検知APIをAIシステムに連携させ、入力段階での攻撃検知や不適切な出力の遮断を行う「AIセキュリティ監視」を提供する。
診断はオンプレミスやプライベートクラウド構成時に提供され、監視は利用環境を問わずに適用可能である。
※プロンプトインジェクション:AIが処理する命令文(プロンプト)に悪意ある命令を混入させ、意図しない動作を引き起こす攻撃手法の一種。
AI普及とともに高まる安全性要求 企業の信頼確保が鍵に
生成AIの業務活用が広がる中、企業にとってセキュリティ対策は不可欠な要素となっている。
今回の新サービスは、AIシステムの構築初期からリスクを洗い出し、継続的な監視体制を導入することで、セキュリティ対策をシステム運用の中核に据える構成を可能とする。
NRIセキュアによるRed Team/Blue Team型の支援は、従来の境界防御では対応が難しい生成AI特有の脅威に対応するもので、今後のAI導入プロジェクトにおいて採用が進むと予想される。
特に、生成AIの出力が業務判断に直結する場面では、誤生成や改ざんリスクの低減は企業信頼維持に直結する。一方で、こうした包括的なセキュリティ対策を導入するには、コストと人的リソースの確保が前提となる。
中小規模の企業にとっては導入ハードルとなる可能性もあるが、安全性と運用効率を両立させる取り組みが進めば、AIの導入・運用モデルがさらに広がる契機になると考えられる。