東電運輸、社員証にVisaタッチ決済機能搭載の「TwooCa」導入 福利厚生とDXを両立

2025年6月26日、三重県四日市市の東電運輸がデジタル社員証「TwooCa(トゥーカ)」の導入を発表した。Visaタッチ決済機能を搭載し、社員の行動に応じたポイント還元や出退勤管理など多機能を備える。
Visaタッチ搭載の社員証アプリ「TwooCa」で福利厚生を再設計
東電運輸は、社員証として機能するスマートフォンアプリ「TwooCa」の運用を開始した。これはVisaのタッチ決済機能を備えたデジタル社員証であり、全国の加盟店で非接触型決済を行えるほか、勤怠管理や社内コミュニケーション機能も統合されている。
TwooCaの最大の特長は、行動に基づくインセンティブ制度にある。
安全運転や健康維持といった従業員の取り組みに応じてポイントが付与され、そのポイントをVisa加盟店での支払いなどに利用できる仕組みとなっている。単なる業務ツールにとどまらず、福利厚生の一環として機能している点が特徴だ。
また、アプリ内では社員間で電子マネーの送金が可能で、例えば外食時の割り勘など日常的なやりとりもスムーズになるという。こうした機能は、従業員同士のコミュニケーションを促進し、組織内の一体感の醸成につながるとされる。
さらに、TwooCaの提供元であるKort Valuta社が資金移動業者として認定を受ければ、給与のデジタルチャージにも対応する見込みだ。これにより、給与支給のあり方も大きく変わる可能性が出てきた。
決済と労務を一体化 DXと従業員満足度向上の両立なるか
今回のTwooCa導入は、単なるデジタル化ではなく「従業員体験の再設計」とも言える。ポイント還元制度を通じて、安全意識や健康管理への動機づけが可視化されることで、企業文化そのものに良い影響を与える可能性がある。
Visaタッチ決済の利便性は、現場におけるキャッシュレス化を推進する上での強力な後押しとなる。従業員は普段使っている社員証アプリ一つで決済も管理も可能になり、管理工数の削減と利便性向上の両方が見込める。
一方で、課題も残されている。例えば、電子マネーによる給与支給が実現した場合、その利用範囲やセキュリティ体制の整備が必須となる。
また、アプリ依存が進むことで、システムトラブル時のリスクにも備える必要がある。
とはいえ、福利厚生とDX推進を同時に叶える事例として、TwooCaは今後他業界にも広がる可能性がある。特に労働力不足が深刻な物流業界において、従業員のエンゲージメント向上は競争力の鍵となるだろう。