クラウドに変わるWeb3インフラを目指す Aptos LabsとJump Crypto、高性能ホットストレージ「Shelby」を発表

2025年6月24日、Aptos LabsとJump Cryptoは、分散型ホットストレージネットワーク「Shelby」の発表を行った。
クラウドに代わるWeb3インフラを目指し、分散性、コスト効率、パフォーマンスのバランスを追求したものだ。
AptosとJump Crypto、分散型ホットストレージ「Shelby」公開
Aptos LabsとJump Cryptoは、2025年6月24日、分散型ホットストレージ「Shelby」を発表した。
従来の「コールドストレージ(静的保存)」に最適化された分散型ストレージとは異なり、リアルタイムでのデータアクセスが要求されるアプリケーションに対応する。
特に、AIや動画ストリーミング、分散型物理インフラ(DePIN)など、高速かつ動的なデータの取り扱いが求められるユースケースに最適だという。
「Shelby」は、アプトスの高スループット技術を基盤にしており、秒単位以下のレスポンスを提供する。
たとえば、1秒間に3万件のトランザクションを処理する能力を持ち、これにより開発者は従来のクラウドストレージと同等、あるいはそれ以上のパフォーマンスを得ることができる。
また、アプトス独自のムーブ(※)ネイティブスマートコントラクトにより、ストレージの管理やアクセスがリアルタイムで柔軟に実行できる。
「Shelby」はチェーンアグノスティック設計が施されており、EthereumやSolanaなど、他の主要ブロックチェーンとも統合可能だ。
※ムーブ(Move):Aptosのブロックチェーンで使用されるプログラミング言語で、スマートコントラクトのセキュリティと効率を高める設計がなされている。
「Shelby」導入によるWeb3の未来と、開発者にとっての利点と課題
「Shelby」の登場は、Web3インフラの発展における重要なステップとなると考えられる。
特に高頻度でデータを取り扱うアプリケーションにとって有益であり、ストリーミング、AI、DePINなどの分野での実用化が期待できる。
開発者にとって最大のメリットとなるのは、ストレージ管理の柔軟性とリアルタイムでのプログラム実行が可能な点だろう。
特に、アプトスのMoveネイティブスマートコントラクトによる高い柔軟性は、既存のクラウドストレージにはない強みとなるはずだ。
また、分散型ネットワークの設計により、データが中央集権的なサーバーに依存しないため、セキュリティやプライバシーの観点でも利点があると思われる。
一方、今後の課題としては、マルチチェーン対応の拡張がどう進んでいくかが挙げられる。
複数のブロックチェーンに対応することで、Web3のより広範なエコシステムへの統合が可能となるが、それがスムーズに実現されるかは今後の技術進展に依存するだろう。
「Shelby」のような高度なストレージネットワークが広く普及することで、他のWeb3プロジェクトがどのように反応し、競争が生まれるか、今後も注目したい。