グレースケールが新アルトコイン投資信託を開始 マイクロソフト支援の「Space and Time」に注目

2025年6月24日、米仮想通貨運用大手グレースケールは、新たな投資信託「グレースケール・Space and Time Trust」の設立と提供開始を発表した。
AIとWeb3の融合を支える先進プロジェクトへの資金流入が加速する見込みだ。
グレースケールがSpace and Timeへの投資信託を提供開始
今回のグレースケールによる新ファンドは、AIとスマートコントラクト(※)の処理基盤を支える分散型データベースプロジェクト「Space and Time」への投資機会を提供するものである。
Space and Timeは、オンチェーンとオフチェーンの双方に対応したスケーラブルなデータ処理を可能にする点が特徴だ。
従来のブロックチェーンでは、分散性や耐改ざん性の恩恵がある一方で、演算処理の非効率さが課題とされていた。この技術的ギャップを埋める形で、Space and Timeは高度な計算性能とデータ信頼性の両立を追求している。
グレースケールの幹部レイハネ・シャリフ=アスカリー氏は、「透明性が最重要で、検証可能なデータがAIとスマートコントラクトアプリケーションの信頼性を確保する」と語る。
こうした背景から、同ファンドは革新的なエンタープライズグレードのインフラ投資として位置付けられる。
本プロジェクトには、マイクロソフトが出資し、そのクラウド基盤「Microsoft Fabric」との統合が実現している。これにより、ビットコインやイーサリアムといった主要ネットワークのデータに迅速にアクセスできる環境が整備された。
※スマートコントラクト:契約条件に応じて自動実行されるプログラム。分散型アプリケーション(dApps)の中核的な技術要素。
新興インフラへの資金流入加速か データ信頼性と市場性の両立に期待と課題
Space and Timeを軸とする本ファンドは、AIとWeb3の融合が進む中で、需要が拡大する「検証可能なデータインフラ」への注目をさらに高める可能性がある。スマートコントラクトによる自動処理が進む分野では、外部データの整合性がトラストレスな取引の成立に直結するためだ。
この仕組みにより、投資家はAI応用や分散型アプリケーションの成長に伴うインフラ整備の波に乗るチャンスを得ることになるだろう。従来のアルトコイン投資と異なり、単なる通貨的価値でなく実用性に裏付けられた技術要素が評価軸となる点も特筆すべきである。
一方で、こうした新興領域への投資には依然として高いリスクが伴う。市場環境の変化や規制動向、採用拡大の不確実性は、投資価値に大きな影響を及ぼし得る。
特にAIとブロックチェーンの融合領域は技術変化のスピードが早く、長期的な視点を持つことが不可欠だ。
今後は、同様の構造を持つインフラ系プロジェクトへの投資信託が相次ぐ可能性もある。
グレースケールの動きが先行指標となり、金融商品としての「Web3インフラ投資」が次のトレンドとなるかどうか、その動向から目が離せない。