テキサス州、犯罪収益の仮想通貨押収を正式に容認 SB1498法案成立

現地時間2025年6月24日、米国テキサス州議会で犯罪行為に関連するデジタル資産を押収対象とする上院法案「SB1498」が成立した。
州内の麻薬罪や詐欺の収益に絡む仮想通貨・NFT・ステーブルコインの没収を認める、米国内でも注目される動きである。
犯罪資産として仮想資産押収を法制化
テキサス州議会は2025年6月24日、刑事訴訟法を改正し、州検察や法執行機関による仮想通貨、NFT、ステーブルコイン(※)の押収を明示的に認める上院法案SB1498を可決した。
これまで貨幣や不動産などが対象だった民事資産没収の枠をデジタル資産へ拡大したものである。
押収された資産は、安全なオフラインウォレットに移され、州当局の管理下に置かれることも義務付けられた。
本法案によりテキサス州は、麻薬取引や詐欺といった違法収益の没収・管理を効率化し、犯罪抑止策の強化を狙う。
法案は、期限内に知事の拒否権行使も署名もないまま自動成立となり、2025年9月1日に発効する見込みだ。
テキサス州はマイニング産業も盛んであるため、デジタル資産を巡る規制整備が注目されていた。
テキサス州はSB1498成立に先立ち、「戦略的ビットコイン準備金」設立法SB21を可決するなど、仮想通貨への積極姿勢を見せている。州がビットコインを購入することを可能にする動きは、ニューハンプシャー州が先行しており、テキサス州は2番目に続いた形だ。
また、アボット知事は戦略的に保有するビットコインの恒久準備金化を図る法案「HB4488」にも署名している。
SB1498成立により、州レベルでデジタル資産への法的対応が一層深まることになると言えよう。
※ステーブルコイン:価格の安定を目的に法定通貨やアルゴリズムで価値を裏付けられた暗号資産。
没収拡大と資産管理、波及効果と課題
今後、テキサス州の本法適用範囲や実務運用が焦点となる。
デジタル資産の押収が常態化すれば、犯罪収益の捜査・没収が迅速化され、暗号資産がらみの違法行為への対応威力の向上が見込まれる。
一方、仮想通貨は匿名性や価値変動の大きさが特徴であり、司法手続きや資産評価、ウォレット管理における技術的・法的整備が不可欠である。
テキサス州は押収資産をオフラインで厳格に保管し、安全性を担保する一方で、没収資産の処分ルールや用途の透明性も確保していく必要があるだろう。
特に価格ボラティリティを伴う仮想通貨の評価替えや、NFTの所有権証明、ステーブルコインの裏付け資産の確認など、実務は複雑を極める。
今後、こうした没収資産の活用や、自治体間の法令整合性、さらには連邦政府との協調が、法運用の成否を左右すると考えられる。