ドン・キホーテ、大学内に初の無人店舗 QR入店・AI自動決済で新業態展開へ

2025年6月24日、ドン・キホーテは、同社として初となる無人店舗「キャンパスドンキ」を展開すると発表した。第1号店は7月1日、大阪電気通信大学寝屋川キャンパス(大阪府寝屋川市)内に開設される予定で、決済や入退店の仕組みにAIとキャッシュレス技術を活用する。
ドンキ、大学構内に無人販売店を新設
ドン・キホーテは、省人化と省スペース化を両立させた新業態「キャンパスドンキ」の展開を開始する。1号店は大阪電気通信大学寝屋川キャンパスの構内に設置され、営業開始は2025年7月1日を予定している。
店舗面積はわずか15.1平方メートルとコンパクトだが、同社オリジナルブランド「偏愛めし」の弁当やおにぎり、文房具、生活用品など、約450アイテムがそろう。
既存の生協が閉店する時間帯でも利用できる構成で、授業の合間や早朝・夕方の空き時間など、学生の生活動線に即した利便性を提供する。
入店方法は、LINEミニアプリで生成されたQRコードを店頭センサーにかざすだけ。店内に設置されたAIカメラや棚の重量センサーが顧客の動きをリアルタイムで把握し、商品を手に取るとそのまま購入とみなされる。支払いは、あらかじめ登録したPayPayもしくはクレジットカードで自動的に処理され、レシートはアプリ内で確認できる仕組みだ。
スキャン不要でスムーズな買い物ができるため、ドン・キホーテは「授業前や休憩など限られた時間でも利用できる」としている。営業時間は午前8時から午後9時まで。
省人化と限定商圏での実証、全国展開も視野に
「キャンパスドンキ」は、従来のドン・キホーテ店舗とは異なり、大学構内などに設置する小規模・省人型業態であることが特徴だ。学生という限定された商圏に対応しつつ、既存の店舗ネットワークと競合しない立地選定により、新たな出店戦略としての可能性が注目される。
無人店舗の導入は、人手不足や人件費高騰といった小売業界の課題に対応するものであり、ドン・キホーテにとってもオペレーションコスト削減に貢献する。特に大学構内という閉じた環境では、店舗の安全性や混雑の抑制、ユーザー動線の最適化といった面でも実証性が高いと言える。
一方で、AIによる商品認識の正確性や、不正防止対策の実効性などには依然として課題が残る。加えて、利用者がキャッシュレス決済に慣れている層に限られるため、顧客ターゲットが限定的になる点もリスク要因と言える。同社は2025年11月をめどに2号店の開設も予定しており、今後は他大学など、省人化が求められるエリアを中心に展開を拡大するとみられる。
無人店舗というフォーマットが、小売業界に新たな成長領域を切り開く可能性がある。