ソフトブレーン、営業支援AIを強化 過去データから最適解を導く新機能を実装

2025年6月23日、国内IT企業のソフトブレーン株式会社が自社CRM「esm(eセールスマネージャー)」のAI機能を拡充すると発表した。営業現場の過去データを活用してAIが自動で回答を返す新機能を公開し、業務効率化の加速を図る。
営業履歴を活用し回答を生成 esm AIコンシェルジュに新機能
今回の新機能は、ソフトブレーンが提供するCRM/SFA「esm」に搭載されたAIサービス「esm AIコンシェルジュ」内の「ナレッジサジェスト」機能に追加される。
これまで同機能は社内のドキュメントや一般的なナレッジに基づき回答を生成していたが、新たに「esm」上に蓄積された営業情報を参照する能力が加わった。
この変更により、ユーザーが知りたい内容を入力すると、AIが過去の商談記録や案件情報を解析し、関連する成功事例やノウハウを即時に提示することが可能になる。従来は担当者自身が検索していた情報を、AIが自動で抽出する点が大きな特長だ。
ソフトブレーンは、営業活動における過去の蓄積を「デジタル資産」と捉えており、それを最大限に活用することで現場の判断速度と精度を高める狙いがある。
たとえば、見積書の構成や競合対策、顧客の反応といったナレッジが自動的に紐づけられ、担当者は自分の案件に応じた実践的なヒントを得られるという。
この機能は、「esm AIコンシェルジュ」の月額1000円(税別)で提供され、「esm」本体のライセンス契約と組み合わせて利用する形式となっている。
営業現場の生産性向上に期待 一方でAI依存への懸念も
今回の機能強化により、現場の営業担当者は過去の事例を即座に参照できるようになるため、提案準備の時間短縮や内容の精度が向上すると期待できる。
特に、属人化しやすい営業ノウハウの共有が進み、組織全体の生産性向上につながる可能性がある。
また、経験の浅い営業担当者にとっても、大量のナレッジにアクセスしやすくなる点は大きな利点になると考えられる。ベテランの知見をAI経由で活用できる仕組みが整えば、人材育成の側面でも貢献するだろう。
一方で、AIの判断に業務が過度に依存するリスクも考慮すべきだ。
誤ったデータや文脈の誤解によってミスリードされる懸念があるため、AIの回答を鵜呑みにせず検証する姿勢が必要となるはずだ。
ユーザーごとの業界特性や取引履歴に応じた精緻なパーソナライズが進めば、さらに実用度が増すとみられる。導入企業のフィードバックを反映しつつ、どれだけ「現場で使えるAI」として成熟させられるかが、今後の鍵となるだろう。