「高齢者のバス無料化」偽情報動画が拡散 生成AI悪用で仙台市が注意喚起

2025年6月20日、仙台市は「高齢者のバス料金が全国で無料になる」との虚偽情報を含む動画が拡散していることを受け、公式に注意を呼び掛けた。
問題の動画には生成AIで作られたとみられる画像や音声が使用されている。
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生成AI活用の偽情報動画が拡散、全国13自治体名を記載
「7月から全国で高齢者のバス料金が無料になる」とする誤情報が、動画共有サイトYouTube上で拡散している。動画では、生成AIによって作成された人物画像や音声を用い、あたかも正式な発表のように偽装しているとみられる。
対象として挙げられたのは、東京・大阪・仙台など13の自治体。中には「政府と自治体の協力により無料化が決定」などの表現もあり、信ぴょう性を装っている。
仙台市はこの動画を18日までに把握。市民から区役所への問い合わせが相次いでおり、市は「そのような事実は一切ない」と否定したうえで、市ホームページ上でも改めて注意喚起を行っている。
生成AIによる偽情報の巧妙化 自治体への影響も懸念
今回のような事例は、生成AIがもたらす利便性の裏側にあるリスクを象徴しており、偽情報の質が高まりつつある現状を浮き彫りにしている。
とくに自治体名を具体的に挙げることで、一般市民が事実と誤認しやすい構成となっており、行政機関の対応負担も増大している。
誤情報によって役所への問い合わせが殺到すれば、本来の行政業務にも支障が生じかねない。
また、高齢者層はデジタル情報に対する耐性が低く、信じやすい傾向にあるため、今回のような偽動画の影響を受けやすい点も問題視されている。
今後、SNSや動画サイトにおける情報流通の健全性を保つためには、一般市民一人ひとりが「誰が発信者なのか」「情報源は信頼できるか」を冷静に判断する必要がある。
教育現場やメディアでも、AI時代のリテラシー教育が急務といえる。