Mantleがネオバンク「UR」発表 1口座で法定通貨と暗号資産の運用が可能に

2025年6月18日、Web3基盤のMantleは、新たなネオバンク「UR」のローンチを発表した。
「UR」はスイス規制下で運用される、法定通貨と暗号資産を一元管理・運用できる金融サービスだ。
Mantleが統合型ネオバンク「UR」を発表
Web3エコシステムを展開するMantleは6月18日、新たなネオバンク(※)「UR」をローンチしたと発表した。
URは、法定通貨と暗号資産の両方を1つの統合アカウントで扱える仕組みを持ち、スイスの金融規制下で運用される。
URでは、EUR、USD、CHF、RMBなどの法定通貨に対応する1:1担保の預金が可能で、ユーザーは国際銀行口座番号を取得できる。
加えて、Mastercardのデビットカードを通じて、世界中の加盟店で預金を用いた決済が可能となる。
送金に関しては、SWIFT、SEPA、SICといった従来型の金融インフラに加え、EthereumやArbitrumといった暗号資産ネットワークを通じた送金もサポートされる。今後はBaseやMantle Networkとの連携も予定されており、オンチェーンとオフチェーン間の資金移動がより容易になる見込みだ。
URのアカウントは、NFTベースのIDとトークン化された預金インフラを用いて管理され、KYC(本人確認)の完了が利用条件となる。
アプリ内では、法定通貨とステーブルコインの保有・送金・支払いが可能であり、将来的には利回り付き口座や暗号資産担保型クレジット、DeFi投資商品の導入も視野に入れている。
現時点では、URはアーリーコントリビューター限定で利用可能だが、一般公開は2025年第3四半期を予定している。提供地域もスイスを中心に一部法域に限定されており、今後の規制整備や提携状況に応じて順次拡大される見通しだ。
※ネオバンク:実店舗を持たず、モバイルアプリやオンラインで全サービスを提供する新興銀行形態
URの展開が示す金融の再構築 利便性と規制対応の両立が鍵に
URの登場は、従来分断されていたTradFiとDeFiの垣根を超えた統合的な金融体験を提示するものだ。1つのアプリで銀行口座と暗号資産ウォレットを同時に運用できる点は、ユーザーにとって極めて高い利便性をもたらすと考えられる。
特に、預金に対する利回りや分散型クレジットなどの機能が段階的に実装されれば、URは単なる決済ツールではなく、資産運用と金融アクセスのハブとしての地位を確立する可能性がある。投資初心者からDeFi経験者まで幅広い層に訴求できるだろう。
一方で、提供地域が規制対応により限定されることや、KYCプロセスが前提である点は導入障壁となり得る。
また、分散型要素と規制順守のバランスが問われる中で、いかにセキュリティと透明性を維持しながらグローバル展開を進めるかが今後の鍵となるだろう。