FANZA、AI生成の同人作品に表示制限へ 今夏以降「AI生成」カテゴリーを隔離対象に

成人向け同人作品の大手販売サイト「FANZA同人」が、生成AIによる作品に対し新たな表示制限を導入すると、2025年6月22日に明らかになった。
制限は今夏以降に開始予定で、AI作品の露出を大幅に抑える方針である。
「AI生成」作品がランキングなどから非表示に
FANZA同人は、生成AIを活用したコンテンツについて、今後トップページやランキングなどでの表示を制限する措置を導入する。
この方針は各サークル(投稿者)に通達されたもので、正式な実施時期は未定ながら「今夏以降」を予定している。
サービス内ではAI利用の程度に応じて、作品を「AI生成」「AI一部利用」「AI補助」の3種に分類している。
「AI生成」は、メインキャラクターや構図など作品の主要部分がAIで作られたものを指し、今回の表示制限の主対象となる。該当する作品は、新作ランキングやピックアップ、新着作品一覧など一般ユーザーの目に触れやすい箇所から除外される。
ランキングページやジャンル別フロアのトップでも「AI専用タブ」以外では表示されなくなるという。
さらに、コミック・CGカテゴリにおいては、「AI生成」に加え「AI一部利用」の作品も同様の制限対象に含まれており、より厳格な対応が取られることになる。
投稿自体は引き続き可能であるようだ。
AI作品への規制強化、目指すべきは「共存」か
今回の表示制限は、FANZAが独自に定義する生成AIの利用基準に基づくものだが、その影響は広範囲に及ぶ可能性がある。ランキングやピックアップからの排除は、ユーザーの閲覧導線を大きく左右するため、AI作品の収益性や存在感に直結するだろう。
近年、AI作品の急増により、手描き作品との混在やクオリティのばらつきが議論を呼んでいた。そのため運営側は、「人間による創作との線引きを明確にし、ユーザー体験の品質を担保する必要がある」と判断をしたと考えられる。
クリエイターの間では賛否が分かれるだろう。AI技術によって表現の裾野が広がったと評価する声がある一方で、作品発表の場を奪われることへの不安も根強い状況だ。
本件は、AIと人間の協業が進むなかで、「区別ではなく共存の形を模索すべき」ことが浮き彫りになった事例といえる。
今後、他の同人プラットフォームが同様の制限を導入するかどうかにも注目したい。
FANZAの動きが先例となれば、業界全体でAI作品に対する新たなガイドライン策定が加速する可能性もあるだろう。