メタが想定以上の反響を受け新型AIスマートグラス発表 オークリーと提携し399ドルから販売開始

米国時間2025年6月20日、メタ・プラットフォームズは新型のAIスマートグラスを発表した。
スポーツブランド「オークリー」と提携し、3K動画撮影や防水対応など性能を強化。
価格は399ドルからで、ウェアラブルAI戦略の中核を担う製品となる見込みだ。
メタ、オークリーと共同開発したAIスマートグラスを発表 性能・価格・展開計画を公開
メタは、スポーツブランド「オークリー」と共同で開発した新型AIスマートグラスを発表した。
従来のレイバンモデルに続くラインとして、ディスプレーを搭載せず、音声操作とカメラ機能を中心とした設計となっている。
今回の製品は、オークリーのサングラスモデル、「HSTN(※)」をベースにデザインされ、電話の発着信、音楽再生、3K解像度での写真・動画撮影、音声によるAI応答といった機能を備える。
防水性能も追加され、バッテリー持続時間は従来比で約2倍に向上。
価格は399ドル(約5万8000円)からで、限定カラーのプレミアムモデルは499ドルとなる。
メタは2021年に投入した初代「レイバン・ストーリーズ」が振るわなかった反省を踏まえ、2023年に改良モデルを発売し、これがヒットを記録したという経緯がある。
以降、ARグラスだけでなくディスプレー非搭載型の製品開発を継続する方針を明言している。
メタのウェアラブル担当VPアレックス・ヒメル氏は、前作のレイバンスマートグラスが「信じられない反響だった」として、スマートグラス市場が予想以上に広まっていることを強調した。
Bloombergによると、オークリーの他のモデル「スフィエラ」をベースにした次期モデルも年内に投入予定で、サイクリスト向けに中央カメラを搭載した仕様になる見込みだ。
加えて、メタは2027年の本格的なARグラス発売を目指し、通知表示やビューファインダー機能を搭載した上位モデルの開発も進行中である。
ディスプレイを搭載したARグラスも、ディスプレイのないスマートグラスも両面で開発していく方針だ。
※HSTN:オークリーが展開するサングラスモデル。ファッション性とスポーツ機能を両立させたデザインで、若年層やアスリート層に支持されている。
普及の鍵は用途特化とプライバシー対応
今回の新型スマートグラスは、メタにとって単なるハードの拡充にとどまらず、AIサービスとのシームレスな接点としての重要な意味を持つ。
音声入力によるAI応答や3K動画対応といった機能強化は、従来のスマートグラスが抱えていた「用途の不明確さ」への回答と見なせる。
一方で、搭載カメラによるプライバシー侵害の懸念は依然として根強い。
とくに公共空間での使用時には、撮影の有無が視覚的に判別しにくい点が指摘されており、法規制やユーザー教育の整備が今後の普及に不可欠とされる。
アップルやアマゾンといった大手もスマートグラス開発に注力しており、今後はエコシステムとの連携力やハード・ソフト両面での最適化が競争の焦点となる。
メタの優位性は、独自のAIモデルとハード設計の一体開発にあるが、利用者の具体的な成功事例が生まれるかが定着の鍵となるだろう。