ディズニーと係争中のMidjourney、初の動画生成AI「V1」提供開始 月10ドルで画像から5秒動画を作成可能に

2025年6月19日(日本時間)、米Midjourney社は動画生成AI「V1」を正式発表した。画像から5秒間の映像を自動生成できる機能で、月額10ドルから利用可能。
著作権訴訟の渦中でありながらの展開となり、注目を集めている。
Midjourney、月額10ドルから使える動画生成AI「V1」を発表
米Midjourneyは、初の動画生成AI「V1」を正式に発表した。
画像から5秒間の動画を生成する新機能で、同社Web版にて有料ユーザー向けに提供を開始した。
V1は、ユーザーが用意した画像またはMidjourneyがAIで生成した画像をもとに、4種類の5秒動画を自動生成する。
各動画は約4秒ずつの延長が可能で、最大20秒程度まで伸ばせる設計となっている。
動作モードは自動設定の「automatic」と、ユーザーが動きを指定する「manual」の2種類。
さらにカメラや被写体の動き方も、「low motion」「high motion」から選択できる。
low motionではカメラはほぼ固定で被写体がゆっくり動き、high motionでは、カメラも被写体もダイナミックに動くという。
生成される動画の内容は多岐にわたる。人間の動作、動物の動き、剣で戦うキャラクターやドラゴンと空を飛ぶシーンなど、アニメ調やファンタジー風の映像にも対応する。
V1は月額10ドル(約1450円)の「Basic」プランから利用可能で、上限付きの生成数が設けられているとされる。
上位の「Pro(60ドル)」や「Mega(120ドル)」プランでは、生成回数無制限の「relax mode」も導入予定。
Midjourneyは2022年に画像生成サービスを開始し、2025年6月時点でDiscordサーバの参加者は2100万人を超える。
なお、同社は米ディズニーおよびユニバーサルから著作権侵害で訴えられており、動画機能「V1」もリリース前から法的リスクを指摘されていた。
動画生成AIの拡張性と法的リスク
MidjourneyのV1は、個人や小規模クリエイターにとって手軽な動画制作手段となりうる。
画像から動きを加えるだけで映像が得られるため、アニメーションやプロモーション素材の制作コストが大幅に下がることが期待される。
一方で、ディズニーおよびユニバーサルと著作権をめぐって裁判中であることは、明確なリスクと言える。
ディズニー、ユニバーサルは、Midjourneyが、著作権で保護されたキャラクターや作品を無断で模倣・再構成できる状況にあるとして裁判を起こしている。
裁判の結果次第では仕様の大幅な変更を求められるため、現在と同じようなサービスを将来も使えるかどうかは不透明だ。
クリエイティブAIの普及が進む中で、技術の拡張性と法的整備のギャップはますます広がっている。
Midjourneyの「V1」は、良くも悪くもその最前線を象徴するプロダクトであり、今後の業界全体に波紋を広げる可能性がある。