YouTubeショートに動画生成AI「Veo 3」統合へ　音声付き生成機能で映像体験に革新

2025年6月18日（現地時間）、米YouTubeは今夏後半を目途に最新動画生成AI「Veo 3」をYouTube Shortsに統合すると発表した。映像と音声を同時に生成できる技術が、ショート動画市場に新たな競争軸をもたらす可能性がある。

YouTube ShortsにVeo 3を統合　音声付き生成AIで表現力拡張へ

今回統合される「Veo 3」は、Googleが2025年5月に発表した動画生成AIであり、映像と音声を組み合わせた高品質な動画を自動生成できる点が最大の特徴だ。これにより、従来のテキストから映像のみを生成するモデルと比べ、表現の幅が飛躍的に広がるとされている。

YouTubeは、2025年2月から一部地域で提供中の「Dream Screen」機能を通じて、前バージョン「Veo 2」によるショート動画の生成を試験的に導入していた。
これらの生成動画には、Googleの電子透かし技術「SynthID」が埋め込まれ、AI生成物であることが明示されている。

今回の発表では、Veo 3がYouTube Shorts上でどのような形式で利用可能になるかについては明かされていない。
ただし、すでにVeo 2を用いた生成環境が整っていることから、クリエイター向けツールとして段階的に展開される可能性が高いと見られる。

SNS上では、Veo 3によって生成されたASMR動画や視覚的にインパクトのある映像が話題を呼んでおり、視聴者の没入感を高める技術として注目されている。
今後、ショート動画で“バズ”を狙うユーザーにとって、Veo 3は新たな武器となるかもしれない。

動画生成の民主化とリスク　市場拡大の裏で問われる信頼性

Veo 3の統合により、個人でも高品質なショート動画を手軽に制作できるようになる。この「動画生成の民主化」は、制作の専門知識がなくても表現力豊かな映像を生み出せる点で、多くのクリエイターにとってメリットとなる。

ビジネス視点では、広告主やブランドが生成AIを用いたプロモーションを行う動きも加速するだろう。従来型の映像制作と比較してコストが低く、短期間で多様な素材を試せる点は、マーケティング戦略に大きな影響を与えると考えられる。

一方で、音声を含む生成AIが拡大することで、フェイクコンテンツや誤情報の拡散といった新たなリスクも生まれる。特に、生成音声が本物と区別がつきにくいケースでは、視聴者の信頼を損なう可能性がある。SynthIDなどの識別技術がどこまで機能するかが鍵となる。

加えて、技術の進化が急速に進むなかで、AI生成物に対するルール整備は依然として追いついていない。YouTubeをはじめとするプラットフォームは、透明性と安全性を両立させる運用方針を明示し、信頼を構築していく必要があるだろう。