生成AI活用、20代は6割超も50代は3割未満 カオナビ調査で明らかに

2025年6月18日、タレントマネジメントサービスを提供するカオナビが、国内企業における生成AIの活用状況に関する調査結果を発表した。20代の約6割が業務で生成AIを利用する一方、50代では3割に満たず、世代間での活用格差が浮き彫りになった。
若年層が生成AI活用を牽引 高年層は依然慎重姿勢
カオナビが実施した「企業の生成AI活用に関する実態調査」によれば、業務で生成AIを活用していると回答した人は全体の35.8%にとどまった。
年代別では、20代の58.3%が「活用している」と答えたのに対し、50代では31.5%と大きな開きがある。特に50代においては68.5%が「使用していない」と明言しており、年齢が上がるほど活用率が低下する傾向が顕著に見られた。
調査は2025年5月14日から16日にかけて、全国の20〜50代の会社員および経営者600人を対象にウェブアンケート形式で行われた。
生成AIブームの中でも、実際の業務適用は限定的であることがうかがえる結果となった。
また、生成AIを頻繁に使う層ほど、「AIによる人材の置き換え」に対する不安が強い傾向も明らかになった。「ほぼ毎日使っている」と回答した層のうち、40.9%が「非常にそう思う」と回答しており、全体平均(15.0%)の約2.7倍に上る。
活用シーンでは、「メールなど簡単な文章の作成」が27.4%で最多。「リサーチ・情報収集」(19.1%)、「アイデア出し」(15.3%)、「業務の自動化」(12.6%)と続き、情報整理や構想段階での利用が主流となっている。「提案書・企画書の作成」「議事録作成・要約」は各8.4%にとどまっており、実務の中核業務への定着は限定的といえる。
活用の壁は「安心」と「教育」 企業に求められる環境整備
今回の調査から浮かび上がったのは、生成AIの導入における心理的・制度的な障壁である。特に年齢層が高くなるほど使用率が下がる背景には、操作スキルだけでなく、「誤用への懸念」や「情報漏洩リスク」などの不安心理があると推察される。
企業が今後求める支援として最も多かったのは「セキュリティ対策」(44.0%)であり、「運用ガイドラインの整備」(42.5%)、「教育・研修」(34.8%)が続いた。これは、生成AIの高度な性能よりも「安心して使える基盤」の整備こそが業務定着の鍵を握ることを意味する。
メリットとしては、情報収集や初期ドラフト作成などに要する時間を短縮でき、生産性向上に直結する点が挙げられる。
一方で、誤情報や偏りのある出力、個人情報の誤流出といったリスクも根強い。
今後、企業内での生成AI活用を推進するには、単なるツール導入だけでなく、部門横断的なガバナンスの構築やリテラシー格差の是正が不可欠だ。とりわけ50代以上の層に対しては、導入支援と継続的な教育プログラムの併用が効果的と考えられる。