防衛省が無人機・AI活用チームを新設 ウクライナ戦争の戦訓を政策へ反映

2025年6月17日、中谷元・防衛相は記者会見で、無人機(ドローン)や人工知能(AI)の軍事活用を本格的に検討する専門チームを省内に発足させたと明らかにした。
ウクライナ戦争における技術運用の教訓を取り入れ、日本の防衛戦略に反映させることが狙い。
防衛省、無人機・AI戦術研究の専門チームを立ち上げ
防衛省によると、4月28日、今後の戦い方に関する検討を行う新チームを設置する方針を決定した。
検討事項は多岐にわたり、将来の戦い方に加え、日米同盟の課題や、防衛装備品の輸出促進政策などを主なテーマとする。
このうち将来の戦い方に関するチームは、約30人規模で編成されたという。
ウクライナ戦争では安価な無人機による精密攻撃や、AIを活用した情報分析が戦局に大きな影響を与えたとされ、日本においてもその実例を踏まえた戦略見直しが求められている。
中谷防衛相は会見で、「複雑な安全保障環境を踏まえ、現下の課題について不断の検討を行う」と述べた。
技術革新の導入に潜む課題 民間連携と国際協調がカギ
無人機とAIの軍事活用は、迅速な対応力や人的被害の低減などの利点がある一方で、民間技術との境界が曖昧であることから、法的・倫理的な課題も浮上する。
特にAIによる自律兵器の導入は、国際社会でも議論の分かれる分野であり、日本も明確な指針づくりが急務となる。
国内の防衛関連産業は技術革新への対応が遅れているとの指摘も考えられ、今後はスタートアップや大学との連携を強化し、迅速な開発・実装体制の構築が求められるだろう。
防衛省は、サイバー、AI、ロボティクスといった先端領域の導入を積極的に推進している。
こうした動きの一環として、防衛省は12日にも科学技術と防衛政策を橋渡しする新たな専門組織である「防衛科学技術委員会(DSTB)」の設立を発表するなど、動向は活発である。
実効性ある技術導入の実現が、今後の安全保障政策の成否を左右すると言えるだろう。