メタプラネットがビットコイン1万BTC超を保有 財務戦略の軸に暗号資産を本格活用

2025年6月16日、日本企業メタプラネットが1,112BTCを約168億円で追加購入し、ビットコインの保有量が1万BTCを突破した。同社は独自の資金調達戦略を活用し、暗号資産を中核とした財務モデルの実現を進めている。
ビットコイン追加購入で保有量1万BTCを突破
株式会社メタプラネット(東証スタンダード:3350)は6月16日、財務準備資産としてビットコイン(BTC)を追加取得したと発表した。購入量は1,112BTCで、平均取得価格は1BTCあたり1,518万2,668円、総額は168億8,300万円にのぼる。
この買い増しにより、同社のビットコイン保有量は累計1万BTCを超え、総取得額は約1,391億5,200万円となった。総取得額の平均取得単価は1BTCあたり1,391万5,230円とされている。
メタプラネットは、従来の法定通貨に依存しない新たな財務戦略として、ビットコインを中心に据えた資本調達モデルを推進している。
直近では、6月6日に中期計画「555ミリオン計画」を公表し、2025年末までに3万BTC、2027年末までに最終目標として21万BTC以上の保有を目指すと明言した。
同社はEVO FUND向けのゼロクーポン社債(※)発行や新株予約権の行使などを通じて調達した資金を、段階的にビットコインの購入に充当。5月末には2日間で7,100万ドル(約103億円)を調達し、その全額を暗号資産の追加取得に用いた。
※ゼロクーポン社債:利子を支払わず、発行価格を額面より大幅に割り引いて発行する債券。満期時に額面全額を償還することで、投資家は差額分を利益として得る。
「企業×暗号資産」の新常態化 拡大する波及効果とリスク
メタプラネットの戦略は、企業財務におけるビットコイン活用の新たなベンチマークとなりつつある。米マイクロストラテジーを彷彿とさせるこの方針は、株式・債務市場を巧みに活用することで、大量のBTCを取得・保有する仕組みを確立している。
同社株価は6月16日時点で1,769円と前日比17.23%上昇し、時価総額は1兆円に達した。
投資への関心が高まっていると考えられる一方で、価格変動の激しい暗号資産に依存するリスクも、同社は併せ持つ。
市場が調整局面に入った場合、保有資産価値の急落が企業財務に直接影響を与える可能性も否定できないだろう。
今後、資産の多様化を目指す企業にとって、暗号資産は選択肢のひとつとしてますます現実的なものになるだろう。とりわけ、デジタルネイティブ世代の経営者や投資家が意思決定層に増えていく中で、伝統的な財務管理の常識が見直される契機となる可能性がある。
ただし、規制や税務上の不確実性を含め、安定的な運用には依然として課題も残る。今後の市場動向と制度整備の行方が、企業によるビットコイン活用の成否を左右すると言える。
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