AI学習用写真で現金化、イメージナビの新サービス「ミツカルモール」 報酬は1枚数百円も

2025年6月11日、北海道札幌市のイメージナビが、AI開発向けに写真を提供して報酬を得られる新サービス「ミツカルモール」の事前登録受付を開始した。換金可能なポイントが写真1枚につき数十~数百円相当で付与され、29日に正式公開される予定である。
AI向け写真を一般募集、審査通過で報酬ポイント付与
イメージナビが発表した新サービス「ミツカルモール」は、AI開発事業者などの要望に応じて指定の構図や被写体、アングルで撮影した写真を募集し、審査を経て換金可能なポイントを付与する仕組みである。サービスの公開は2025年6月29日を予定しており、すでに11日から事前登録が始まっている。
投稿された写真が審査を通過すれば、ユーザーには1点あたり数十円〜数百円相当のポイントが与えられる。ポイントは1ポイント=1円として換金でき、500ポイント以上で指定口座への現金振込が可能になるという。
AI開発において多様な視覚情報のニーズが高まっているなか、同社はAI企業などから有料で受けた依頼を基に写真を収集。募集ジャンルには制限を設けず、顔写真なども「プライバシーに留意しつつ対応可能」としている。
ただし、他人の著作物や第三者が写り込む場合は、撮影者が権利者の許可を得る必要がある。規約への同意と合わせて、利用範囲はAI学習用途に限定され、個人情報や不採用画像の提供は行われない。
個人参加が広がる可能性と著作権リスクへの懸念
写真1枚から報酬が得られるという仕組みは、副収入を得たい一般ユーザーにとって魅力的である。スマートフォン1台あれば誰でも参加できる点も、参入障壁の低さにつながっている。特に、ストックフォトやSNSで写真を投稿してきたユーザーにとっては、新たな収益機会となる可能性がある。
一方で、著作権や肖像権に関するトラブルのリスクも考えられる。提出写真には審査があるとはいえ、第三者が写り込んでいた場合の許諾確認や、後々の権利侵害訴訟リスクは投稿者自身が負うことになる。報酬が数百円単位であることを考えると、リスクとリターンのバランスには慎重な判断が求められる。
さらに、AI開発事業者との取引をイメージナビが仲介する現在の仕組みは、年内にも直接取引型のサービスへと拡張される予定だ。これによりユーザーと企業の関係がより密接になり、報酬の柔軟化や投稿内容の多様化が進む可能性もある。
今後、イメージナビはプロカメラマンによる撮影や、既存のストックフォト素材の活用も含めたAI向け画像提供サービスを拡充していくとし、AI市場のニーズに応じたビジネスモデルの進化が注目される。