KDDIが多摩に次世代データセンター建設 AI時代の需要増に対応し27年秋開業へ

2025年6月11日、KDDIは東京都多摩市で新たなデータセンター「Telehouse TOKYO Tama 5-2nd」の建設を開始したと発表した。
2027年秋の開業を予定しており、AI活用の拡大に対応する高電力・高効率なインフラ整備を進める。再生可能エネルギーを100%活用した運営も実現する方針だ。
多摩に高性能DC建設、GPU対応の水冷方式を導入
KDDIは、東京都多摩市に新たなデータセンターの建設を開始したと正式に発表した。
新施設「Telehouse TOKYO Tama 5-2nd」は、最大18メガワットのIT電力容量を備え、高性能GPUサーバーに対応する水冷方式を採用する。
設置可能なラック数は約1900台、延べ床面積は約5800平方メートルに達する見込みで、建物は地上8階・地下1階の構造となる。
運営には100%再生可能エネルギーを用い、環境負荷の軽減にも配慮する。
同社によると、AI需要の急増に伴うデータ処理量の拡大に備えることが主な目的であり、電力効率と処理能力を両立させた次世代型施設として位置づけられている。
今回の立地選定には、防災面での優位性も背景にあるようだ。
多摩エリアは地盤が強固で標高が高く、水害リスクが比較的低いため、事業継続性に優れた拠点になると評価されている。
さらに、都心からのアクセスの良さも、ビジネス用途における利点となる。
脱炭素とAIインフラの両立 多摩エリアが国内DC拠点に
KDDIは本施設を「AI時代を見据えた最先端のデータセンター」と位置づけ、日本のデジタル化と持続可能な社会の実現に貢献する意向を示している。
多摩地域全体としては、新設施設を含めて最大約100メガワットの受電容量が確保される見通しで、国内における有力なDCクラスターの形成が進められる見込みだ。
運営に再生可能エネルギーを100%活用することは、企業のESG対応やグリーン成長戦略にも合致しており、持続可能なインフラ整備の象徴とも言える。
また、高電力・高密度GPUへの対応は、生成AIや大規模言語モデルといった最新技術の基盤として需要が高まる領域であり、将来的なクラウド事業者やAIベンチャーの集積も期待できる。
一方で、電力確保や地域インフラとの整合性には引き続き注視が必要だ。
特に、都市近郊型DCの増加に伴う電力負荷や冷却課題への対処が、今後の課題として浮上する可能性もある。
とはいえ、同社が世界10カ国・45拠点以上で展開してきた「Telehouse」ブランドのデータセンター事業における実績と信頼性は、長期的な運用において強みとなるだろう。