OpenAI、新AIモデル「o3-pro」発表 高性能で価格は半額以下に

2025年6月10日、米OpenAIは最新の推論型AIモデル「o3-pro」を正式発表した。
高精度な処理能力を持ちながらも、従来モデルより大幅に低価格で提供される。有料版「ChatGPT Pro」ユーザーやAPI利用者は、既に利用可能となっている。
新モデル「o3-pro」 複雑タスクへの処理性能で高評価
OpenAIが6月10日に発表した新モデル「o3-pro」は、既存の「o3」ベースモデルを改良した推論型AIであり、数学や科学、プログラミングといった複雑な分野におけるタスク遂行に特化して設計されている。
ChatGPT Proのユーザーはすでに利用可能で、同時にAPIとしての提供も開始された。
評価指標では「明確さ」「包括性」「指示の追従性」「正確性」などすべてのカテゴリにおいて従来モデルを上回る結果を記録。とりわけ、科学教育やソフトウェア開発の現場で強みを発揮する性能を有しており、社内ベンチマークでも旧モデル「o3」や「o1-pro」を明確に凌駕したとのことだ。
OpenAIのサム・アルトマンCEOは、「本当に賢いですね! o3と比較した勝率を初めて見たときは信じられませんでした」と自身のX(旧Twitter)でコメント。プロユーザー層への移行を促す姿勢を見せている。
o3-proはWeb検索機能、Pythonコードの実行、ファイル分析、パーソナライズメモリ機能にも対応しており、タスクの多様化に柔軟に応じる構造も持つ。
性能向上とコスト削減で普及加速へ
o3-proのもう一つの大きな特徴は、利用コストの大幅な引き下げである。
API利用料は入力トークン100万単位で20ドル、出力トークンでは80ドルとされており、これは従来の「o1-pro」に比べて実質的に半額以下の水準である。企業や開発者の導入ハードルが下がり、利用者は拡大するだろう。
一方で、AIの高性能化がもたらすリスクには注意が必要だ。
間違った出力が専門領域で採用された場合の影響や、既存業務の自動化による雇用調整の懸念など、技術の進化に伴う社会的影響も考慮すべきだろう。
それでも、「性能向上」と「コスト削減」の両立という点において、o3-proは業界における新たなスタンダードになる可能性を秘めている。今後のアップデートや他社との競争動向も含め、AI市場の動向からは目が離せない。