TSMCの5月売上高、前年比39.6%増 AI半導体需要が依然堅調

2025年6月10日、台湾の半導体受託製造最大手TSMCは、5月の売上高が前年同月比で39.6%増となる3205億台湾ドル(約1兆5500億円)に達したと発表した。
AI向け半導体の需要が堅調に推移する中で高水準を維持したが、前月比では8.3%の減少となった。
AI特需が継続、前年比で大幅な売上成長
TSMC(台湾積体電路製造)は、米エヌビディアやアップル向けのAI関連半導体を中心に受注を拡大し、2025年5月の売上高が前年同月比で約4割増となった。
売上額は3205億台湾ドルに達し、同社の月次売上としては高水準を維持している。
ただし、前月(4月)との比較では8.3%の減少が見られた。4月は前年比48%増の勢いがあり、4〜6月期全体ではアナリスト予想で前年比39%増と見込まれている。
TSMCの魏哲家(C.C. Wei)CEOは6月3日の株主総会で、「AI半導体は需要が供給を引き続き上回っている」との認識を示しており、2025年通年の売上はドルベースで20%台半ばの成長を見込んでいると述べた。
成長の原動力はAI、だが供給制約がリスクに
世界的な生成AIブームを背景に、AI半導体市場は今後も堅調に推移するだろう。
特にエヌビディアのGPUやアップルの自社チップなど、高性能な演算処理を必要とする製品群がTSMCの売上をけん引している。
今後は、台湾からの対米輸出拡大も追い風になると考えられる。
実際、台湾の対米輸出は5月に過去最高を記録し、AI需要を背景に半導体関連の外需は拡大傾向にある。
ただし、リスク要因として、部材供給の制約や地政学的リスクが挙げられる。
AI半導体の製造には高精度な工程が求められ、装置・素材の調達遅延が生産計画に影響を与える可能性がある。
また、米中対立や台湾情勢の緊張が継続する限り、サプライチェーン全体への波及リスクも無視できないだろう。