任天堂の実写映画「ゼルダの伝説」公開延期 2027年5月7日に変更

2025年6月9日、任天堂は自社X(旧Twitter)アカウントを通じて、実写映画「ゼルダの伝説」の公開日を2027年5月7日に延期すると発表した。これは、2027年3月公開とする従来の発表から約1か月半の延期となる。対象は全世界の劇場公開である。
ゼルダ実写映画、制作都合で約1か月半の公開延期
任天堂の人気ゲームシリーズを実写化する映画「ゼルダの伝説」が、当初予定されていた2027年3月26日から、同年5月7日へと公開日を変更する。6月7日、任天堂の公式Xアカウントで発表された。
この告知は、任天堂代表取締役フェローであり本作のプロデューサーを務める宮本茂氏のメッセージとして投稿された。宮本氏は「制作上の都合により、全世界の劇場公開日を2027年5月7日に変更します」とし、「十分な時間をとって、良いものに仕上げたいと思います。もう少しだけ時間をください」と説明した。
「ゼルダの伝説」は、任天堂が展開する代表的なIPのひとつであり、1986年の初作以来、長年にわたり国内外で高い人気を誇る。映画化の発表は2023年11月で、同年4月に公開された「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の大ヒットを受けた動きとされる。
実写映画の制作は任天堂と米Arad Productions Inc.が共同で行い、監督は『メイズ・ランナー』シリーズで知られるWes Ball氏が務める。制作費の50%以上を任天堂が出資し、Sony Pictures Entertainment Inc.が全世界での配給と共同出資を担う。
延期の裏に“品質優先”の姿勢
わずか1か月強の延期とはいえ、今回の発表には任天堂の慎重な姿勢がにじむ。過去に例のない実写化に挑む中で、同社は作品の完成度に対して強いこだわりを持っているとみられる。特に、「マリオ」の映画で培った成功体験が、新たな基準として求められている可能性がある。
実際、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、全世界で13億ドルを超える興行収入を記録し、ゲーム原作映画としては異例の成功を収めた。その直後に発表された「ゼルダの伝説」の実写映画には、当然ながら大きな期待が寄せられている。
一方で、スケジュールの変更が他のプロジェクトに波及するリスクも否めない。任天堂は今後も自社IPの映像展開を強化するとみられ、「ゼルダ」の成否がその方向性を左右する可能性がある。映像戦略が軌道に乗れば、同社にとってゲーム以外の新たな収益基盤となる展望も開ける。
「ゼルダの伝説」はその世界観の深さとストーリーテリングにおいて特異なポジションを持つIPであり、実写化におけるハードルは高い。延期によって“完成度”が担保されるならば、中長期的にはブランド価値の向上につながると考えられる。