セールスフォース、AI活用を支援 新機能で信頼とガバナンス強化

2025年6月6日、米CRM大手Salesforceの日本法人であるセールスフォース・ジャパンは、企業向けAIエージェントの信頼性確保を支援する新機能「Data Cloud Governance」と「Trusted Services」を発表した。
AI基盤データの信頼性確保を支援する新サービスを提供
今回提供される「Data Cloud Governance」は、データプラットフォーム「Salesforce Data Cloud」全体に適用可能な統一ポリシー管理機能であり、企業ごとのセキュリティ方針や規制要件をクラウド上で一元管理できるようになる。
加えて「Trusted Services」は、AIエージェントの動作や出力に対する信頼性の担保を支援する機能群で、機密性の高い業務領域でも活用可能だとされる。
これらは、Salesforceが展開する単一アーキテクチャプラットフォーム上で統合的に提供され、データの取得から分析、AI出力までの一貫性を担保する仕組みである。
背景には、生成AI導入企業が増加する一方で、誤出力や情報漏洩といった懸念が高まっている現状がある。これに対し、Salesforceは技術基盤の透明性向上とガバナンス強化によって企業の不安解消を図る構えだ。
企業のAI導入加速に寄与 利便性とリスク対応の両立が鍵
今回発表された新機能は、企業のAI活用を後押しする可能性が高い。
特に金融、医療、公共分野など、厳格なデータ管理が求められる業種においての導入メリットは大きいと考えられる。
データガバナンスやアクセス制御が標準機能として提供されることで、社内システム担当者の運用負荷が軽減され、AI利活用の幅が広がるだろう。
一方、過剰なガバナンス設定による運用コスト増や、業務スピード低下といったリスクも懸念される。特に中小企業においては、機能の取捨選択や運用設計の難易度が上がる可能性があるため、導入時には適切な判断が必要となるはずだ。
Salesforce側は、企業規模や業種に応じた柔軟なカスタマイズ性を訴求しており、導入企業にとっては競争力向上と安全性確保を両立できる新たな選択肢となりそうだ。
今後の普及状況次第では、日本企業のAI戦略全体に影響を与える可能性もあるのではないだろうか。