メタ、AIスタートアップ「スケールAI」への巨額投資を協議か　過去最大級となる100億ドルを資金調達

2025年6月8日、米メタ・プラットフォームズが人工知能スタートアップのスケールAIに対して、100億ドル（約1兆4500億円）超の投資を協議していると、複数の関係者がブルームバーグに明かしたとの報道があった。
実現すれば未上場企業への投資としては過去最大級の規模となる。

メタ、スケールAIに100億ドル超の出資を検討か

メタ・プラットフォームズが、AI分野で急成長を遂げるスケールAIに対し、100億ドル超の巨額投資を協議していることが明らかとなった。
これは、ブルームバーグが2025年6月8日に複数の関係者から得た情報に基づくもので、正式な合意には至っておらず、条件は変更される可能性があるという。

スケールAIは2016年創業の企業で、主に機械学習向けのデータラベリング（※）サービスを提供している。
顧客にはマイクロソフトやOpenAIといった大手企業が並び、業界における存在感を強めていたところだ。
2024年の売上高は8億7000万ドルに達し、2025年には2倍以上の20億ドルが見込まれるなど、業績も右肩上がりとなっている。

なお、スケールAIは昨年の資金調達ラウンドでもメタからの出資を受けており、その時点での企業評価額は約140億ドルに達していた。
今回の取引が成立すれば、未上場企業による資金調達としては過去最大級となる可能性がある。

※データラベリング：
AIに学習させるためのデータに「これは猫の画像」「これは肯定的な文章」などとタグを付けて分類する作業。AIモデルの精度に大きく影響する。

メタの投資姿勢に転換か　戦略的連携でAI競争に本格参戦へ

メタがスケールAIへの巨額投資を検討している背景には、同社のAI戦略における方針転換があるとみられる。
従来のメタは、社内研究とオープン開発を軸にAI技術を磨いてきたが、今回のような外部企業への大規模出資は異例だ。

マーク・ザッカーバーグCEOは、2025年1月にAIを最重要戦略と位置づけ、年内に最大650億ドルを関連分野に投資する方針を示していた。
その一環として、独自の大規模言語モデル「Llama（ラマ）」の開発を進めており、Facebook、Instagram、WhatsApp上で展開されるAIチャットボットは月間10億人に利用されている。

スケールAIとの連携が強化されれば、メタはより高精度なモデル訓練やデータ供給体制の拡充が可能になるだろう。
これは、OpenAIやGoogle DeepMindなどとの競争で後れを取らないための布石とも言える。

一方で、未上場企業への出資としては過去最大級の規模となるため、仮に市場環境が変動すれば巨額損失を抱えるリスクもある。
特にAIバブルの再燃による企業評価の過熱が指摘されるなかで、評価額140億ドルという水準が今後も維持される保証はない。

現状、MetaのLlamaは、ChatGPTやGeminiほどの利用者を獲得できていない。
AIへの投資が本格化することで、競争構造にどれほどの影響が出るのか、今後も注目したい。